「チェコ!」
 そう言いながら空港から走ってきたのは、ストライプのシャツワンピにロングニットで普段よりも大人っぽい格好の台湾であった。髪飾りも今日は可憐な小花で、彼女の愛らしさを引き立てている。寒がりな私は臙脂色のロングスカートに黒のハイネック、スロバキアから借りた白いロングコートという出立ちだ。とにかく肌を出したくない。その一心で足元もファー付きのブーツを選んだ。
「いらっしゃい、私の家へようこそ!」
 そう言って腕を広げると、満を持して抱きついてきた。毎度のことながら、人通りの多いところでのハグは恥ずかしすぎる。そこそこの時間で体を離し、キャリーケースを預かった。愛車のトランクに乗せていると、背後から再度抱きつかれた。
「どうなさいましたの?今日は甘えたですわね」
「だって、これから仕事だから今のうちにチェコとくっついておきたいんだヨ」
 そう、今回の台湾の渡航は雑誌の撮影のためだ。二人でweekly国の表紙を飾るのだが、その後のインタビューは個別で行うと聞かされていた。そのため一緒にいられるのは表紙の撮影まで、時間にしておよそ四時間と言ったところか。同じスタジオではあるが、それでも寂しいのだという。
「ほら、離してくださいまし。時間に遅れてしまいますわ」
 口を尖らせながら渋々離れていった
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