何を書くか全くもって考えていない。今の私は、ただキーボードに指を置いて画面を見つめるだけの、ノープランカメだ。
窓の外では風がものすごい音を立てて吹いている。びゅうびゅうというより、ごうごうといった様子。家の外に置いてあった、プラスチック製のゴミ箱が、風に飛ばされて畑の玉ねぎを倒してしまった。順調に育っていたから悲しい。やはり中身が空だとすぐに飛ばされてしまうので、石やブロックなど重しを入れておいた方がよさそうだ。
中身が空、といえば、今日の昼飯を思い出す。なにぶん腹が減っていたもので、いつもより多く美味しく頂くことができた。空腹は最高の調味料とはよく言ったものである。
ごうごうと強い風が吹きつける中を、私という重しを乗せた車を走らせて、数日分の食料を買いに出かけた。移動中は車内にいるから風の冷たさも何もなかったが、降りるときにヒヤッとした。あまりの強風に、扉が思いきり開いてしまいそうになったのだ。精神的な冷たさだった。
晩のおかずやら残り少ない調味料やらを買い物かごへ入れていく。あーそういやお昼を考えてなかったなあ、なんて思っていたら、なんとも美味しそうなサンドイッチが目に入った。
甘辛のタレが絡んだ分厚い鶏肉と、しんなりとしたレタスをふわふわの食パンで挟んだサンドイッチだった。しかも耳付き。これは食べ応えがある。
「お買い上げありがとうございました」
店員さんの声を背中に、店を後にする。気がつけばレシートに甘辛チキンサンドがしっかりと印字されていた。
家に帰った私は早速サンドイッチを取り出した。プラスチックの容器を開けると同時に、ふわっと香るタレと小麦の匂い。手にしたパンは思った通りふわふわで、少し力を入れただけで指がしっとりと沈んだ。柔らかな感触の奥に、メインである鶏肉のムニッとした弾力が指を押し返してきた。見た目だけじゃない。身もしっかり詰まっていて厚い。いい肉だ。
口を大きく開いて、かぶりついた。もっちりとしたパンと肉の歯応え。甘辛いタレでしんなりとしたレタスは、啜るようにして口内へ。素朴な小麦の味わいに、濃いめのタレ。鶏肉の程よい脂と旨みが一気に広がる。
調理してから売り場に置かれていたため、少々冷えて固まっていた脂が、口の中で溶けていくのがなんともいえない。一噛みごとにじゅわっと溶け出す旨みを飲み込んで、舌に残ったこってり感を、牛乳でさっぱりと押し流す。
最高だ。
文句なしに美味い。
パンに染みたタレが、指を流れる。とろりとしたそれも舐めとって、私は最後の一口まで存分に味わった。
空っぽだった胃袋が満たされて、ほうと息をつく。ああ、たまにはこういうのもいいな。パンも肉も、何ひとつ残っていない綺麗な容器を眺めながら、私は満足感に包まれていた。