龍賀時貞が老衰で死んだ。だけで無く、その跡目を継いだ時麿が何者かに殺害された。
村の連中の中には『祟り』なんてワケのわからない迷信を信じる者もいるようだったが、龍賀克典はそんな迷信に惑わされる人間では無かった。どう考えても、あれは、何者かの犯行。しかも、あんな左目を脳天まで串刺しに出来るということは、かなりな力の持ち主。怪しいのは長田の手下どもだ。
そこまで考えたところで、克典は車の外に見知った人物が歩いて行くのを目にした。
「水木くん・・・・・・」
そうして、彼のそばに寄り添って歩いているのは克典の娘、沙代では無いか。
「ちょっと停めてくれ」
運転手に車を停めさせる。何やら話している水木と沙代に声をかけた。
「君も隅に置けないねぇ」
克典のからかい口調に水木は焦ったように何か言いつのろうとする。沙代に至っては「知りません」とそっぽを向いてどこかに行ってしまった。
帝国血液銀行の水木。彼との付き合いは短いものでは無い。接待のノウハウを水木に教えたのも、それなりにいい料亭やら旅館、果てにはちょっとした最近流行のパーラーなど。そういった社交の場に水木を連れて出かけたのは一度や二度では無かった。
「水木くん、ちょっといいかね」
だから、水木は克典の一段落とした声のニュアンスで何を求められているのか察したのだろう。神妙な面持ちで克典に連れられ、彼の乗っていた車の後部座席に黙って乗り込んだ。
「おこもりは、もう良いのですか?」
「あれは夜だけだ。昼に何をしようが問題ない」
「そうですか」
それ以上、何も訊かずに克典の隣に座る水木の様子を改めて克典は眺めやった。
30を越えたとは思えないあどけない面持ち。体型にピッタリ合っているとは言いがたい吊しのスーツを着ただけの男。夏の暑さにその肌にしっとりと汗を浮かべ。何か言いたげに半端に開かれた薄い唇は、しかし、何の音も発さずにいた。
「沙代のやつ、男を見る目だけはある」
「は?」
「いや、相変わらず水木くんはいい男だと思ってね」
「からかわないでください」
からかいたくもなるものだ。そうやって、少しうつむいて薄らと頬を赤く染める様が見たいから。社長もお人が悪い。そう揶揄って貰いたくなる。
そんなことを克典が考えているうちに小さな村の中ではすぐに屋敷に着いてしまう。そのまま屋敷の離れに水木を通し、隙あらばと思って用意してあった奥の部屋に向かう。そこには既に閨の用意がしてあった。
「社長・・・・・・」
真っ昼間の明るさとは裏腹に薄暗く整えてあるそこには、大きめの布団が敷かれている。その様子を見て克典の意図を察したのだろう。水木が振り向いたところで、克典はその厚い唇を水木のそれに重ね合わせた。
「ん・・・・・・ふぅ・・・・・・」
まだ浅いキスの合間に、水木の背広を脱がせ、ネクタイをほどき、ベルトを緩めていく。抵抗らしい抵抗をしないのは、もう既に何度かこうして肌を合わせることをしてきたからだ。強いて水木が抵抗する理由があるとすれば、入り婿である克典の立場を心配してという点かもしれなかったが、しっかりと人払いもしてある奥の離れだ。人の出入りの激しい母屋とは全く違う静けさが漂い、中庭のししおどしの音だけが時々カコンとするくらいのものであった。
夏のわりに着込んでいた克典もあっという間にその衣服を脱ぎ捨て、下着のみとなる。もう既にその中心は下着を持ち上げ、兆しを見せていた。
目の前に、下着姿となった水木が跪く。そうして、両手でそろそろと克典の下着を下ろすと、恭しげに勃起ち上がる克典を両手で支え、そのままパクリとその口に飲み込んだ。
水木の口淫はいつ受けても大層気持ちが良い。薄い唇と舌で丁寧に全体を舐め吸われ、鈴口をチロチロと舌先で弄ばれる。かと思えば、根元と玉は両手で優しく揉みしだかれ、時々唾液でぬめらされた指先が裏筋を怪しく撫でる。
芯を持ち始めたソレの先端を、じゅ、じゅ、と誘うように吸われれば、自然と先走りが垂れてくるというものだ。
上手くできているという意を示そうと克典が水木の頭を撫でる。すると、熱心に奉仕をしていた水木の視線が克典を見上げ、一瞬、笑ったように見えた。
あめ玉でもなめ回すように水木の舌が器用に克典のモノ全体をなめ回していく。血管の浮くソレがてらてらと薄暗い部屋の中で怪しく光った。
そっと水木の肩を押せば、彼は何の抵抗もなく布団の上にパタリと仰向けになる。まだ着ていたタンクトップとトランクスを脱がせてやれば、乳首はピンと立ち上がり、足の付け根にあるモノもゆるりと勃起ち上がっていた。それを膝を合わせて克典の視線から隠そうとする様。それを片手で膝を割り、克典は拒む。そのまま自身の身体を割り込ませ、ひたりと水木の後孔に指先を這わせた。まだそこは堅く引き結ばれている。
そこに、最近流行の男性用化粧品がある。いわゆるローションタイプの化粧水だ。それを手に取り、克典は水木の後孔へとそれを塗り込む。すると、今まで固く閉ざされていたそこが、ゆるりゆるりと緩んでいくのである。
ただ、ソコだけの刺激ではさすがに時間がかかってしまう。克典は空いているもう一方の手でぷっくりと立ち上がった水木の胸の尖りをくにゅくにゅとこねくり回す。触れば触るほどふっくりと膨らむそれは女性の胸のように柔らかだ。特に、傷のある左の胸の方が敏感なようで、克典が左の乳首を弄ぶ度に水木の口からは「ン、ぅん・・・・・・」と悩ましげな声が漏れ出ていた。
「しゃちょぉ・・・・・・」
鼻にかかった声で呼ばれる。手持ち無沙汰だったのか、いつの間にか水木の両手が水木自身に伸びようとしていた。
「それは私の仕事だ。君はこっちでも弄っていなさい」
今まで順繰りに揉みしだいていた水木自身の胸に、水木の両手を載せてやる。初めのうちはサワサワと表面を撫でるだけだった両手は、次第に快感に従順になり、そのつんと尖った乳首をつまんだりひっかいたりとしていた。
そのずっと下、水木の足の付け根でただ芯を持って天を仰いでいるだけのモノに今度は克典が片手を伸ばす。ローションを纏わさなくてももう既にソレは自身の先走りでぬらぬらとぬめっている。それを克典はその分厚い手で緩く掴み、上下にしゅっしゅっと扱いてやる。
びくびくっと生きの良い魚のように水木の腰が跳ねる。少しだけ飛び出た白濁を後孔の滑りに足し、克典は前後からその手淫で水木を攻め立てた。
「しゃちょ、ぉ、しゃちょ・・・・・・ォ」
髪を乱し、息を乱しながら水木が呼ぶ。それに克典も「水木くん、水木くん」と名を呼んだ。
克典の指先が水木の後孔に潜り込む。それが1本、2本と増やされると、益々、水木の声は高くなっていった。ずりずりとシーツの上を水木のかかとが滑っていく。宙を掻く水木の両手が克典の背中に添えられたとき、きゅっと強く爪を立てられた。
「かつのりさん、はやく・・・・・・」
快感に涙を浮かべる水木の青い瞳が物欲しげに克典を見上げる。もう既に、水木の後孔はパクパクと物欲しげに開閉を繰り返していた。
「いくぞ」
短く宣言された言葉にコクコクと水木が頷く。そのようすを見たか見ないかといううちに、ぐっと克典のモノが水木の後孔へと突き立てられていた。ぐぐ、ぐぐ、と押し入られる。
「あ、あ、ああ・・・・・・っ」
言葉にならない音も押し上げられるように水木の口から漏れ出していく。それと同時に、水木の口の端からたらたらと唾液が垂れ流されていた。ぐ、ぐ、ぐっぐ、と腰を進められ、ブシュッと水木の前が派手に弾ける。その白濁がべったりと二人の胸に、顎にかかってもどちらも気にも留められないのか、更に密着するばかりだった。
ぐ、ぐぐ・・・・・・。
根元まで入ってしまうと、はふはふと浅い息を繰り返す水木に、もう一度、克典は口付けをしていた。今度は浅いものでは無く、深い口付け。歯列の裏を舌でなぞり、舌同士を絡ませ合い、互いの息を食い合う。水木との口付けはいつでも少しだけ安いタバコの香りがした。
そのまま、克典はぐっと腰を引く。ずろずろと抜けていく自身から得る快感に達してしまいそうになりながら、しかし、腹の底に力を込めてそれをとどめる。ぐっともう一度奥深くまで差し込めば、ビクッと水木の腰が跳ねた。
そうして、ぱん、ぱんと何度か抽出を繰り返す。抜き差しする度に、二人の腹の間で擦れる水木のモノはぴゅるぴゅると少しずつ白濁を飛ばす。だが、そんなことに構っていられる者はそこには誰一人として居なかった。ただ、純粋に、肉欲に溺れる。
「かつのりさん、かつのりさン・・・・・・」
「水木くん、水木くんッ」
互いに名を呼びながら、睦み合う。ただ、それだけがその時の彼らの出来ることであった。
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