牛天ワンライ 札 部活 ジャージ
白鳥沢バレー部には、用具室ともう一つ部屋が存在していた。
その部屋は反省部屋とも、連れ込み部屋とも言われていた普段は使われない部屋だ。
そんな部屋になんと先輩方のやっかみのせいで天童と牛島は閉じ込められていた。
「駄目だ、オレの力じゃ開かないよう、牛島くんはどう? 」
この時は未だ天童は牛島呼びだった。
「ジャージを脱いで扉に引っ掛けてみたらどうだろうか、思い切り引っ張れば開くんじゃないか」
「奮闘してたの見てたデショ、完全に駄目。誰か気づいてくれるまでこのままダヨ」
天童はぼやく、何も挨拶の礼を忘れただけでなんでこんな目に合わなくてはならないのかと。
部活の年功序列は天童の肌には合わず、なら強者らしくバレーで決着つけようよと喧嘩をふっかけてきたのは先輩方で。
牛島とタッグを組んでの試合は快勝を収めれば今度は納得が行かない先輩方が実力行使に出たのだった。
バレーで勝負って言ったジャン卑怯者! と天童が騒いでも遅かりし。
こうして彼らは閉じ込められてしまったのだった。
「牛島くんの怪力パワーでも無理じゃ、詰んでない? 」
「怪力ではない。まだ鍛え不足だ」
「いや、真面目カヨ!! 」
あーあ、片付けなんか押し付けられなきゃこうはならなかったのにーと天童が騒ぐ中、牛島は黙々と中に押し込まれていたものの検分をしている。
中にあったのは、ポールと踏切台と跳び箱。これでどうするのだろうか。
跳び箱の横に踏切台を設置し、牛島はポールを掴むと思い切り部屋の隅に移動して助走をつけた。
「ふんっ! 」
彼は助走を付けて踏切台を踏み、飛び上がり、跳び箱に飛び乗りポールをはめ殺しの窓に突き立てた。
そのままてこの原理でねじ込ませ、高い所にあるはめ殺しの柵を少し歪め。
窓のロックを外そうとしたが、彼の厚い手じゃ入らなかった。
「天童、こっちに登ってこれるか、お前の指なら入るだろう」
「えーと、めっちゃバキバキ音したけど大丈夫? 」
破壊力やばくね、これ弁償させられんじゃと悩む天童に再度手を伸ばす牛島。
「……連帯責任だかんな、これ」
天童は跳び箱に近寄り、頑張ってよじ登っていく。最後に上に上がる時に牛島が手を貸してくれた。
「よっと」
そうして上に登ると、場所を僅かずらした牛島と天童は交代し、天童はその平らな未だ節ばっていない手で柵の隙間に滑らせ、窓のロックを解除した。
やはり天童の手なら開くと思っていた、と牛島がなおもてこの原理て柵をねじ曲げ、その隙間を縫うように天童が窓枠に手を掛けて思い切り横にスライドさせる。
ガタピシと軋む音はしたが、なんとか開き、その隙間から顔を覗かせ外に向かって声を張り上げた。
「誰かーーー!! 中から出してーーー!! 未来の日本を背負ってたつ牛島若利くんを見殺しにする気かぁああああ!! 」
それはもう何度も声を張り上げ天童は叫ぶ。
牛島は、その内容にびっくりした。
なんせ彼らは未だ一年生、そんな未来など分からないだろう。
だが、天童は、天童だけは未来の日本を背負って立つ人材だと認めた事になる。
牛島は胸の奥が熱くなった。
まだまだ不甲斐ないこの自分を、天童だけはきちんと見てくれてなお、そんな風に思っていてくれていただなんて。
何か途方もない力が、熱量が湧いてくる。
牛島は訳が分からず、ギュウッと自分の胸を掴んだ。
この気持ちをなんというのだろうか。
今の牛島には分からなかった。
だが、嬉しいとこの時強烈におもい、初めて彼は天童の存在をはっきりと自覚した。
今まで彼は先輩に盾突く不届きなやつだと、バレーの才はあるが故の意固地な奴だと思っていた。
だが、この出来事で赤髪の彼への評価がぐるりと変わったのだった。
「牛島くんも、何ぼやっとしてんのさ! 騒いで! 」
天童に叱咤され、不意に湧き上がるは可笑しくなる感情。
牛島はそのままに声を張り上げた。
この時の牛島の声に気づいた他の部活の生徒が彼らに気づき、学校に連絡を入れてくれ、ようやく先生が部屋を開けてくれ。
そのまま閉じ込めた上級生はこっぴどく怒られ、バレー部を退部になったのだった。
「若利くん、何してるの? 」
「いや、ここでの出来事を思い出していた」
「ふうん……ねぇ、早くシヨ? 」
天童が長くしなやかな腕を牛島の首に掛けて彼を誘う。
片手で牛島の手首を掴んで服の中に入れて行けば、牛島が応えるように指先を蠢かせ彼の肌を撫でる。
それだけで甘い声を洩らす天童の肢体に堪らなくなり、牛島は顔を寄せて噛み付くように唇を奪うと、二人して舌を絡めて呼吸を取り合う。
彼らはそのままイケナイ遊びに耽溺していくのだった。
【⠀秘め事遊び】