できることは限られている。逃げられる場所も限られている。
私は次々と打ち込まれるヒモロギナナフシの肢を転がるようにして避けながら、ビーコンとなっている魔力を込めた水晶玉がある場所を目指す。
木々のあいだから漏れ出る魔力光を見つけた瞬間、私はそれに飛びついた。地面を派手に転がりながら、しっかと抱きかかえた水晶玉にありったけの魔力を込める。ヒモロギナナフシとの壮絶な追いかけっこで肉体の疲労は限界に近く、視界が霞む。しかし、ここで意識を失ってしまえば私はたちまちヤツのエサだ。
過剰に魔力を供給された水晶玉にぴしりととヒビが入ったのと、地面にへたり込んだ私の頭上に巨大な影が覆いかぶさるのがほぼ同時。私の小さな体を噛み砕くのに余りある長大なアゴが開かれーーその瞬間こそが、私に残された最後のチャンスだった。
疲労と負傷でろくに動かない腕に鞭打って、手にした水晶玉を思い切り投げつける。
ヤツの大アゴが水晶玉をがっちりと受け止めそのまま噛み砕いた瞬間、実験中の事故でさんざん見てきた爆光が目の前に広がる。すさまじい衝撃波を受け、私の羽根のように軽い体は小石のように吹っ飛ばされた。
とっさに体を丸めたが、それでも全身に枝やら石やらが傷を作る。
乙女の柔肌が台無しだ、と愚痴る前に、びしゃびしゃびしゃっと嫌な音を立ててそこら中に重い固まりが降り注いできた。水晶玉の爆発で吹っ飛ばされたヒモロギナナフシの大アゴの破片だ。
ヤツの甲皮は確かに強靭だが、体内まで装甲に覆われているわけではない。
穴だらけになったローブにくるまって、砕けた破片が降り注いでくるのに耐える。しばらくして頭を上げて周囲を見回すと、