「アンケート……『あなたの所属隊の、長所と短所を教えてください』?」
そう丁寧に質問を読み上げたのは、玉狛第二所属狙撃手・雨取千佳。
「へえ……B級って、そんなアンケートもあるんだ?」
雨取の隣で感心したように声を上げたのは、雨取の友人でありC級隊員狙撃手・夏目出穂。
「いや、初めてじゃない? こんなの配られたの」
その横で冷静に返答を返したのは、影浦隊所属狙撃手・絵馬ユズル。
3人は狙撃手の合同訓練後、ラウンジでB級隊員に配られたアンケートを見ていた。
そこへ、同い年の3人の陰が走り寄ってくる。
「あ、お疲れー! 狙撃手の訓練、終わったんだ?」
「あ、うん。緑川くんたちも、休憩?」
草壁隊所属攻撃手・緑川駿に話しかけられ、雨取は顔を上げる。同じ玉狛第二の空閑が仲良くしているお陰か、最近は雨取にも気さくに声をかけてくれる。
「そうそう、丁度学校の帰りにバッタリあったから、みんなで個人戦やってた」
そう言って緑川が指し示した背後には、弓場隊所属万能手・帯島ユカリと、柿崎隊所属万能手・巴虎太郎が居て、ペコリと頭を下げた。
「お! 14歳が勢揃いしたッスね!」
気付いた夏目が声を上げると、全員は目をパチパチさせて、互いを見やった。
「そういえばそうだね」
「……まあ、珍しい、かもね」
雨取が頷き、絵馬もぎこちなく同意した。緑川は「そういやそうだねー」とあまり興味なさそうだが、帯島と巴は「みんな同い年だと、ちょっと安心するかも」と笑いあった。
そのままの流れで一緒に座る6人。緑川たちの手にも雨取達と同じアンケートが握られていた。
「緑川くんたちも、アンケート貰ったの?」
「あ、これ? うん、さっき早紀ちゃんから貰った」
「俺たちも作戦室寄った時にもらって……個人戦終わったら一緒に書こうって話になったんだ」
巴が答え、帯島も頷く。
「でも、隊の長所かあ……なんだろ? 早紀ちゃんがカッコいい? 一馬先輩が面白い?」
緑川が首を捻りながら悩む横で、巴と帯島も考え込みながらつらつらと書いていく。
「柿崎隊は……隊長の柿崎先輩が優しくて、照屋先輩が頼りがいあって、宇井先輩が気配り上手で……すごく居心地がいい……それから、いつも色々教えてもらって、勉強になります……」
「弓場隊は……弓場さんが強くて頼りになる隊長で、外岡先輩が優しくて狙撃上手で頼りになる先輩で、ののさんがカッコ良くて頼りになるオペレーターで……いつも助けてもらって、鍛えてもらって、優しくしてもらって、すごく、楽しい、です……って、なんか感想になっちゃうけど、いいのかな?」
帯島が自分の書いた内容を見て、困ったように首を傾げる。
帯島がそう言うので、雨取と絵馬も自分のアンケートを見返してみた。
「……わたしも感想、かも。『隊長の修くんはいつもすごく丁寧に下調べをして戦術を考えてくれるので、戦う時にすごく助かってます。遊真くんはとても強くて、いつもみんなを守ってくれるし、タメになるアドバイスをたくさんくれます。栞さんはとても優しくて頼りになるオペレーターです。みんなが勝つ為に色々頑張っているところが、わたしの隊の長所です』」
雨取が自分のアンケートを読み上げると、絵馬は一瞬複雑そうな顔をした。それを夏目に見られ、ニヤニヤと肘で軽く突かれる。絵馬はそれを軽く払って、こほんと咳ばらいを一つした。
「……いいんじゃない、感想でも。単なるアンケートなんだし」
「じゃあ、ユズルはなんて書いたん?」
夏目に訊ねられ、絵馬は一瞬黙ってから答えた。
「オレは……『全員テキトーだけど、なんとかなる実力があるところ』かな」
「おー、短い」
「こんなの、適当でいいでしょ」
絵馬の言葉に「だよねだよね!」と緑川が同意する。絵馬はその騒がしさに少し顔を顰めたが、こくりと頷くと「……だから、雨取さんのも、それでいいと思う」と雨取の背中をそっと押した。
「そっか……じゃあ、長所はこれでいいか。帯島さんも、それでいいんじゃないかな?」
雨取に言われ、隣の絵馬にも頷かれ、帯島はほっとしたように「そうか、じゃあこれで出そうかな」とはにかんだ。そして、横に座った巴にも視線を向ける。
「巴くんも、もう終わる?」
「うん、おれも長所はこれで出そうかなって。でも……短所が思いつかないんだよね……なんだろう?」
「短所! 確かに……」
帯島は再び考え込んだ。雨取も短所と言われ、首を傾げる。
「短所、短所……わたしも分からない…………うーん……わたしの短所は、周りに甘え過ぎちゃうことだけど……」
「あ、分かるッス! 自分もいつも先輩たちに頼ってばっかりだから……」
「それはおれもだなあ……判断とか、結構隊長任せにしちゃうこと多いし……」
帯島が雨取に同意すると、巴も頷く。しかし、絵馬は肩を竦めた。
「でも、そうしないと隊長のいる意味とかなくなるでしょ。いいんじゃない? オレも指示は普通にもらうし」
「そうそう。うちなんてオペが隊長だから、指示めちゃ来るよ~! それに好き勝手動いたら迷惑になることもあるし。好き勝手動いた方がいいってときもあるけど」
緑川も絵馬に同意し、みなそれぞれの所属隊の指示や判断の仕方について話す。
どこにも所属してない夏目はその話を聞きながら、「あーあ。アタシも早くB級上がってこの会話に混じりたい」と小さくぼやくのであった。【終】
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【#いい15歳組の日】『あなたの所属隊の、長所と短所を教えてください』
初公開日: 2026年06月04日
最終更新日: 2023年11月14日
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