佐古田サンから連絡が届いたのは、あの日から二度ほど飲みにいった後、十一月のある日のことだった。
『これから話す内容は誰にも漏らすな。メールは読んだらすぐ消去しろ』
からはじまったメールはどうしたって不穏だ。私用のメールアドレスあてに送られてきてはいるが、何かの任務だろうか? SIDが絡んでいるとばれたらまずい要件なのかもしれない。
『どうしたの?』
『お前にあることを頼みたい。難しいと思うが、やってくれないか』
中々内容をはっきりさせない。佐古田サンらしくない、と思うがそれほど彼のことを知らないから、メールだと急に優柔不断になるタイプなのかもしれない。
『いいよ、俺にできることなら』
そう言いながらさっきのメールを消去していく。万が一にも証拠を残すとまずいなら、さっさと消してしまうのが吉だ。
『助かった! ルナのやつがサンタさんを信じてやがるんだ。クリスマスプレゼントを用意してやらなきゃならない。
何が欲しいかヒアリングまでは終わったが、俺が買うところを見られたらおしまいだ。お前ならルナにも面識はないし、プレゼントを置くときも、最悪サンタさんとしてごり押せる。
欲しいのはこれだ、AMIRA TOYSのビックテディ。アイボリー……要するに白だな、ルナの身長くらいのやつをご所望だ。
店のURLを添付しておく。https://●●●●~
あとは『よい子のLunanotteへ、聖ニコラウスからのプレゼントだよ』とでもメッセージカードをつけてやってくれると助かる。
これ以上の連絡は緊急時以外避けてくれ。いつルナに見られるか分からないからな。
以上だ。よろしく頼む』
長文のメールが届いた。その内容を理解するのにしばらくかかった。
でかくて白いクマのぬいぐるみがほしいらしい。店のURLだけ保存してから、メールを消去する。
サンタ役をしろと、俺に?
今まで生きてきて縁のなかった行事だ。俺に務まるとは到底思えない。
「……佐古田サン、友達、少ないのかな」
思いついた理由は、それくらいしかなかった。