年も明けて、先輩や菜月たちと遊んでいたらあっという間に始業式の日になっていた。
生徒会室に向かう道すがら、こっそりと息を吐く。
……大丈夫大丈夫、いつも通り。
気を抜くとつい緩んでしまいそうになる表情筋に力を入れる。
……逆に変な顔になってない? 大丈夫?
残念ながら手鏡なんて持ち歩いてないし、生徒会室にはお手洗いもない。今から取って返しても、また途中で崩れちゃったら意味がない。
はぁ、と再び溜め息。ふわりと雲が湧く。
その理由は単純明快にして厄介なもの。
――先輩と一線を越えた。
それはもう、走り幅跳びくらいの勢いで。
いや、確かに始業式の準備の時はゆっくり話し込むこともできずに意識する間もなかったけど。
いざ慌ただしさがなくなった途端、先輩の顔を思い浮かべるだけであの夜の情景が、感触が、わっと頭の中に蘇る。
そうなるとアウトだ。朱里たちにぼんやりしてると言われるくらいに腑抜けてしまう。こよみなんかは「その顔なに?」とストレートに言われる始末だ。
まずい。非常にまずい。
なにがまずいって、生徒会のメンバーだ。堂島くんは鈍いからまだいいとして、槙くんに見られたら絶対からかわれる。確信がある。槙くんのタチの悪いところは、ズケズケ容赦なく聞いてくるところと、相談に乗るていで話を引き出してこようとするところだ。
それ以上にまずいのは――佐伯先輩。
槙くんと違ってあんまり予想が付かない。流石に泣き出すまではないだろう……と思う……けど、笑顔で建物裏に呼び出される気もするし、嫌みをもらいそう。どっち道言えるのは、察せられたら少なくないショックを与えることになってしまう。それは避けたかった。
……どうしたもんか……。
そうやって考えのまとまらない内に、生徒会室に辿り着いてしまった。
えぇい、ままよ。
「お疲れ様でーす」
深呼吸してから入ると、すでにみんな揃ってるみたいだった。
「お疲れ様ー」
「お疲れ様、小糸さん」
「遅かったわね」