関卍サン×二代目みっち(原作筋)ビター風味の試し書き
※設定を練ってみる
その日、二代目東京卍會総長 花垣武道は、関東卍會副総長 三途春千夜に呼び出され、彼の待つ高架下に向かっていた。関東卍會はマイキーを総長とする暴走族(チーム)であり、武道にとっては関東卍會の解散をこそ悲願として活動しているが、先日の三天戦争の後、二代目東京卍會は関東卍會に対して宣戦布告を行い、自身の悲願の為、武道は立ち止まる事無く前に進んでいる。
二代目東京卍會が関東卍會との抗争において、最終決戦の地として選んだのは旧湾岸貨物操車場だった。其処は奇しくもかつて黒川イザナが亡くなった第7埠頭にも似ていて、何処かしらに通じるものがあるのだろう。
それはさておき三途春千夜の事だ。武道は過去でも未来でも、彼の事を殆ど何も知らない。それは勿論、彼個人と親しく話した事が無いからという事が主な理由であるが、武道自身が未来で見た彼の粗暴で荒っぽい仕草に何処か恐怖を抱いており、彼と親しく、それは正しく友人の如く話をする事など不可能であると感じて居た事が理由の一つでもあった。
「三途春千夜…いや、明石春千夜、か」
三途春千夜の妹である千壽は、常々彼を「ハル兄」と呼び、彼との和解を心から望んで居るけれど、武道にはそれが途方も無く大きな願いであり、まるでガラスの如く脆く崩れ去ってしまうものであるかのように感じていたのだ。
いや、端的に言って、三途くんが千壽を受け入れる為には、より大きなきっかけが必要であるのではないかと、そう思っていた。それは今回の抗争などという酷く大きな枠組みにおける喧嘩のそれではなく、寧ろ個人的に親しく話す場を設けた上で成されるべきことなのではないかと、武道は自身で抱いたその言葉をただ静かに感じていた。
千壽は根が素直な少女だから幾らでも修正が利くけれど、三途春千夜はそうではない、と武道は確信していた。三途春千夜はマイキー君を自身の王として崇めているし、それは自身が傷つけられた幼き日の出来事から変わらぬ忠誠を捧げているのだ。その思想がそう簡単にひっくり返る筈も無い。
「だからこそ、今回はどういう理由で呼び出したのか、知る必要があるんだ」
これは決して誰にも任せる事の出来ない使命であると武道はそう感じていた。だってそうだろう。ここで誰かを引き連れて、巻き込んでしまえば、大きな抗争を前にして決着を付けなければならなくなる。それは看過する事の出来ない事態であった。
―――一人で来い。
そう書かれた差出人不明のメールに応じたのは、ひとえにその言葉に何の含みも無いことを何処かで感じていたからなのかもしれない。きっと千冬や三ツ谷君には何て馬鹿なことをしているのだと言われるだろう。でも、彼等を巻き込んで、もし万が一彼等が傷つけられでもしたら、きっと武道は耐えられない。だからきっとこれが正しい選択なのだと自身に言い聞かせ、武道は高架下を目指した。