ネタ出しからやる。はたして二時間でまともなものが出来上がるのか。
ルール確認
・異世界
・冒険者がいる世界観
・国の首都にはない冒険者訪れる宿屋
・宿屋サイドの人(店主、従業員、店主の家族など)
・それ以外は自由
「異世界」……せっかくなら要素を押し出したい。主人公に馴染みのない世界。
「冒険者がいる世界観」……いわゆるナーロッパ系?
「国の首都にはない冒険者訪れる宿屋」……冒険者”が”かな? 辺境っぽいところ?
「宿屋サイドの人」……主人公にする。
・世界の外れにある宿屋を訪れるのは、前人未踏の地を目指す命知らずばかり。勢い込んで世界の果てを越え、異世界を目指す冒険者達だったが、彼らの相手をする店主が当の異世界人であることにはちっとも気付いていないのだった。
メモってどう出すんだっけか
本編書くぜ!
ここから
 境界山脈。僕の地元では「壁」という呼び方が定着していた山脈を、こちら側の人間達はそう呼んでいた。そして、こんな噂がまことしやかに囁かれていた。
 曰く、あの山脈の向こうには、こちら側とは全く異なる世界が広がっていて、暮らしているのは美男美女ばかり。川には水の代わりに酒が流れ、麦の穂は一年中黄金色に実り、そこらじゅうに財宝が溢れているのだという。
(……ま、そんなことはないんだけどな)
 このあたり――西に境界山脈の峰をいただく、「世界最西端」の村で唯一の「西から来た」人間である僕は、向こう側の実情を知っている。多少の気候や文化の違いこそあれど、財宝が溢れているなんてことも、酒が川を流れているなんてこともない。美男美女ばかり、という点については……まあ、個人の好みの問題から、そう見えることはあるかもしれない。こちら側とあちら側では、人の顔立ちも相応に異なる。
 ああ、僕についてはこちら側の人間にほぼ完璧に擬態しているから、彼らからはまったく疑われることなく、同じ人種だと思われているはずだ。
 たとえば。
「うわああーっ! ソウちゃーん!」
 よく通る、こちら側の感性からすれば、きっと「愛らしい」という部類に入りそうな声で僕の名を呼びながら、店の扉に体当たりをぶちかまし、その勢いで僕の前に転がり込んできた人間がひとり。
「またダメだったよー!」
 びえびえと泣きながら、カウンターテーブル越しに縋り付いてくる女性は、僕のことを全く、これっぽっちも疑ってはいない。実際はこの村にやってきてまだ三年も経っていない僕のことを、ずっと昔からここで暮らしている人間だと信じ切っている。
「仕方ないですよ。境界山脈はそう簡単に越えられるモノじゃないんです。僕もこれまでリナさんみたいな情けない大人を何人も見てきましたよ」
「待ってソウちゃん今情けないって言わなかった?」
 僕にジト目を向けてきたリナさんは、これでも歴戦の冒険者だ。野良ドラゴンが相手なら、なんとか逃げ切るくらいの腕はある。
 ここで、今、怒らせるのはちょっとまずい。僕は失言のことには触れずに、カウンターテーブルに鍵を置いてごまかすことにした。
「お疲れでしょう、部屋の用意はできていますよ」
 普段リナさんが泊まっているよりも、グレードがふたつばかり上の部屋だ。
「えっ!? これって、でも、その……私、お金が……」
「いつもと同じ金額で構いませんよ」
「そのお金もなくて、今夜は馬小屋かなーとか思ってたところだったんだけど……」
「後でまとめて払っていただければ。出世払いってやつです」
 営業スマイルを絶やさずにそう言い切った僕に、リナさんは心配そうな目を向けてきた。おかしい。心配するのは僕の側ではないのか。なぜ金欠冒険者にこんな目を向けられているのか。
「ありがたいけど……経営、ほんとに大丈夫なの?」
「よく聞かれますけどね。順風満帆、ですよ」
「ほんとかなぁ……お客さんからあんまりお金取ってないの、知ってるんだよ?」
 そう言って僕の顔を覗き込んでくるリナさんに、不覚にもどきりとしてしまった。
「本当に大丈夫ですってば。ほら、遠慮しないでさっさと休んでください。冒険者は体が資本って、リナさんも言ってたでしょ」
「……じゃあ、お言葉に甘えて」
 僕の店は、このあたりではよくある形の宿屋だ。一階に受付と食堂、二階には客室。素泊まりを中心に安い宿泊費で客を呼び込み、食堂での売り上げで利益を出すタイプ。
 流れの料理人に任せている食堂の方はそこそこの価格設定でやってはいるが、それでも、宿代はかなり安い。……正確に言えば、本来の価格設定よりも、だいぶ安く提供してしまっている。
「だって、仕方ないじゃないか」
 リナさんが二階に上がり、客室のドアが閉まる音を聞いてから、僕はぽつりとつぶやいた。
 まともに越えられる保証もない境界山脈に挑むのなんて、冒険者の中でもよほどの命知らずが、他の真っ当な仕事を満足にこなせないバカくらいしかいない。どちらも、決して羽振りが良いわけではない。
 そんな人たちを閉め出すような真似は、僕にはどうしてもできなかったのだ。
 翌朝、リナさんはしばらく村に滞在するつもりだと言った。日雇いの仕事で金を稼ぎ、もう一度境界越えに挑戦するための準備を整えるのだという。
 元気よくツケで大盛り定食を食べきったリナさんは意気揚々と宿を出て行き、そして、その日の夕刻に暗い顔をして帰ってきた。
「リーンが帰ってないって、ほんと?」
 力なく店の扉を押し開き、足を引き摺るようにしてカウンターテーブルの前にやってきたリナさんは、弱々しい声をこぼした。
 宿の帳簿をつけていた僕は、一度ペンをインク壷に戻して、それから彼女に向き直った。
「そうですね。……二週間前、リナさんとここを発って以来、一度も」
「そっ、か」
 カウンターテーブルの縁に、ずるずるとリナさんの体が沈んでいく。頭のてっぺんのアホ毛だけが僕の視界に入るようになった頃に、小さくすすり泣く声が聞こえてきた。
 境界越えに挑み、命を落とす冒険者は珍しくない。だからこそ、彼らの多くは無理だと思ったらすぐに引き返す。そしてまた挑戦し、諦めて、挑戦して、また諦めて……それでも少しずつ峰のてっぺんへと近付き、その果てに、山脈を乗り越えることを目指している。
 だが、無理を悟って引き返したからといって、無事に麓までたどり着けるわけではない。
「一日だけ、早く降りたはずなのに」
 急峻な山は、そこかしこに死の危険が伴う。より険しい場所から遠ざかる帰り道だからこそ、かえって大きな脅威に見舞われてしまうことも、ままあることだった。
 残酷な言い方ではあるが、よくあることなのだ。
 だからこその、冒険者。あえて危険を冒す者。
「ねえ、ソウちゃん。今日は……使いたい部屋があるんだけど」
 目の周りを赤く腫らしたリナさんは、五分後にカウンターテーブルの向こう側から顔を出した。
 僕は無言で、ひとつの鍵をテーブルに置く。二週間前、リーンさんが泊まっていた部屋だった。
「……ありがとう」
 リナさんが階段を上がっていく。彼女も、あれで歴戦の冒険者だ。一晩泣きはらした後は、全て割り切って上を向ける。そういう強い女性だった。
 だからこそ、僕は彼女に対して、他の人よりもさらに甘くなってしまうのかもしれない。
「だって、仕方ないじゃないか」
 僕はその場にしゃがみ込み、床板の、うっすらと色が違う場所に指をかけた。軽く引っ張ると、カウンターテーブルの裏にある隠し扉の取っ手ががくんと持ち上がった。
「リュウさん、ちょっと店番お願いします」
 食堂を任せている寡黙な流れの料理人に声をかけ、それから取っ手を引き上げる。僕がそうしている間も、彼は余計な詮索をしなかった。この隠し扉の先にある地下室のことも、気付いているのに何も言及しようとしない。
 ただ、無言で頷き、僕の代わりに立っていてくれる。
 辺境には、いろいろと後ろめたい部分を抱えている者もいる。僕にとっては、代えがたい共犯者だった。共犯者といっても、僕がここで何をしているのか、彼は全く知らない。ただ、見ないようにしてくれている。
 それだけで十分だった。
 たとえ彼であっても、僕の正体を知られたのなら、ただで済ますわけにはいかないのだから。
 地下室に降りて、隠し扉を閉める。光のない通路でも、僕にとっては問題はない。眼球の擬態を解除すれば、人の目では見通せない暗闇もどうということはないのだ。
 短い通路の先、鉄格子に懸けられた錠前に鍵を差し込んだ。かちゃりと鳴った小さな音は、石造りの地下によく響く。そしてその音に反応して、びくりと身を震わせる気配がひとつ。……そして、遅れて響く、かたかたかた、という金属音。
 鉄格子の扉を開き、その中に入る。壁に掛けられた燭台に火を灯してやると、そこにいた彼女は僕の姿を見て小さく悲鳴をあげた。
「やあ、リーンさん。ご機嫌いかがですか?」
 二週間前にここを発ち、そして二日前の夜中に僕の店に転がり込んできた彼女は、暗く冷たい地下室に鎖で繋がれ、その身を震わせていたようだった。
 リナさんのかつての相棒。彼女と同じくらいに腕の立つ冒険者だった女性は、抵抗する素振りも見せずに怯えきっている。
「ぁ……ぅ……」
「ああ、無理して喋ろうとしなくていいですよ。何を言ったってどうせ変わらないんですから」
 冷え切った体と、日の光が届かない場所に、丸二日も閉じ込められていた恐怖。彼女の体は震えが収まらない様子で、かたかたと鎖が音を立てている。
「ところでリーンさん。いい感じに震えてもらっているところで、貴女に見てもらいたいものがあるんですよ」
 僕はできるだけ優しく聞こえるように声をかけ、それから、全身の擬態を解除した。
 めきめきと音を立てながら腕と脚が裂ける。窮屈に折りたたみ、肩甲骨に見せかけていた翼がばさりと音を立てて広がる。伸ばしていた胴を縮めて、顔の骨格を戻して、隠していた牙と触覚を表に出す。
 こちら側の人間が見たら、翼の生えた蜘蛛、と、そう形容するかもしれない。
 そんな僕を見て、リーンさんは絶叫した。……いや、絶叫しようとしたようだった。だが、うまく喉が動かないのか、いっぱいに開かれた口からはかすれた呼吸音が漏れるばかりで、助けを呼ぶ声を出すこともできていない。
「はは」
 思わず笑みが漏れる。理想的な反応を示してくれる彼女が愛おしく思えた。僕はお礼の意味を込めて、鋭く尖らせた前腕を、彼女の眉間へと叩き込んだ。
 ……ところで、僕がいた「向こう側」では、ひとつの噂がまことしやかに囁かれていた。
 曰く、壁を越えた先に住むニンゲンという生き物は、ひどく怖がらせてやってから喰らうと、実に美味である、と。
 特に、腕の立つ女の冒険者は。
「嗚呼」
 眉間に空いた穴から啜った脳髄は、なるほど、甘美な蜜の味がした。
<了>
おしまい
 でけた。
 あとは時間切れまで見直し修正タイムじゃん。
 修正も終わりじゃん。
 画像化とかしようかな。まだちょっと時間あるし。
 画像化作業中! こっちはもう動かないので終了します! 読んでくれた方ありがとうございました!
 ……いやこれ手動で終了できないじゃん! あと五分このままだよ!
カット
Latest / 125:25
カットモードOFF
42:39
ヤギチュール
♡ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!
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向き
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お題:異界の宿屋にて
初公開日: 2022年04月19日
最終更新日: 2022年04月19日
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コメント
企画 開催終了
今回はいつもと少し違って単語1つのテーマではなく、
決められた設定を守るようにして物語を執筆してみようという企画です。
いつものテーマがいくつもある感じ。
文量は「1文」以上。
最初の書き出しのみでOKです!
書く人が変われば書き出しが変わるはず。
いろんな書き出しを読みたいです!
制限時間は2時間と長くとっていますので、
制限時間内なら1文に止まらず続きを書いていただいてもOK!
今回の設定内容はこちら
・異世界
・冒険者がいる世界観
・国の首都にはない冒険者訪れる宿屋
・宿屋サイドの人(店主、従業員、店主の家族など)
・それ以外は自由

開催期間

2022年04月16日 00:00 ~ 2022年04月30日 00:00

制限時間

2時間
企画参加。ネタ出しからやります。時間内に終わらなくても(゚ε゚)キニシナイ!!
43「札束」
頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。今回のはじ…
ヤギチュール
42「くるぶし」
頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。今回のはじ…
ヤギチュール