頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。
今回のはじめのキーワードは「ことり」。
38「ことり」
 ことり。ことり。いったい何が落ちたのでしょうか。あるいは何も落ちていないのかもしれません。ことり。倒れた音かも。転がった音かも。ことり。何かが置かれた音かもしれません。でも私は最初にこれが落ちた音だと思いました。どうしてでしょうね。そこに理由はあるのでしょうか。理由。理由はあらゆるものに必要なのでしょうか。そうではないと思います。そうでない世界であってほしい。
 理由のないことが好きです。愛おしいと思います。何の理由も因果もなく、ただそこにあるだけ。それだけでいい。それだけが許されること。それって幸せなことだと思うんです。存在理由。そんなものなくたっていい。それが優しさではありませんか。少なくとも私はそうであってほしいと思う。
 ことり、と何かが落とされたとき、それが落ちた理由とか、落ちてきた理由とか、そういうものは一切考えずに、ただ落ちてきたことを受け入れる、落とされてしまったことを受け入れる。そういった感情が優しさと呼ばれて欲しい。できることなら、海のように深く。
 海の中に落ちるんです。ことり。小鳥が。鳥は翼が濡れてしまっても飛べるのでしょうか。己の涙を吸った翼は、どれだけの重みを持っているのでしょうか。
 私は飛び方を知らない。仮に知っていたとしても、飛ぶための翼なんて持ち合わせてはいない。それでも空を飛ぶ話を書きたいのです。書くことができるのです。きっと。たぶん。そうであってほしい。
 さっきから願望ばかりだな。願うばかりで少しは行動したらどうなんだ。いつもいつもそうだ。俺には何かをしようという気概がない。そうありたいと願うなら行動に移すべきなのに。なぜ立ち上がろうとしないのか。
 願望がないからだよ。
 もっと気力を振り絞らないといけない。向上心を持たないといけない。今の自分は生きているゾンビだということくらいわかっている。理解できている。私は今しんでしまったってかまいやしないんだ。
 ……本当に?
 自分のことなんて今だにわかりませんよ。何も。なにひとつわかりやしない。わかりっこない。どうも自由連想文をやってるとこんな思考に陥りがちですね。前も似たような名前になったような気がする。気のせいかもしれない。
 自分の中に深く掘り込んでいるような気がしますが。そうでありたいと願っているだけかもしれない。けっきょくこれも、自分の理想とする、こうでありたいと願う自分の深層心理を演じているだけなのではないでしょうか。
 自分の理想ってなんだろう。なりたい自分ってなんだろう。きっとそれがないから私は頑張れないし踏ん張れないし立ち上がれないのだ、ということを最近考えていた気がします。つまり理性というものは、違った意識というものの意欲というものは、向上心から発するものであるということ。
 現状の自分に甘んじてしまっている人間は、死んでいるも同然なのです。向上心を抱き、自分の理想像を抱き、そして高みを目指して努力していく、進化してく生き物こそが人間なのだ。そうでない私は、結局のところ生ける屍でしかない。
 しかし、ああ。そんな生ける屍でも存在を許容されているのがこの世界の良いところですね。私のような停滞しきっている、社会の発展に何ら寄与することの無いような存在であっても、ただ「ここにいる」ことだけは許容されている。私はここにいていい。己の意志だけでそう決定することができる。
 それはきっととても幸せなこと。だから、やっぱりこの世界は天国なんじゃないんですか?
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38「ことり」
初公開日: 2022年01月12日
最終更新日: 2022年01月12日
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頭に浮かんだことばをひたすら書いていく。自由連想文ってやつをやります。目安の時間は10分。
今回のはじめのキーワードは「ことり」。