夢の世界から意識が浮上しては、小さく体を震わせて薄いブランケットで丸くなった体を包む。それでもなんだか落ち着かなくなっては目を開けてベッドから抜け出した。寒いかもしれない、なんていつぶりに感じただろうか。冷房の効きすぎた店に入った時や席に座った時に思うことはあったが、我が家……というよりも自室ではもう数ヵ月ぶりのことのような気がする。学校へ向かう準備をのんびりとしている間に、背中にじんわりと滲む汗にどこか安堵しては足早に部屋から出た。
「キースおはよっ!」
「……っと。ディノ、あぶねぇだろーが」
「へへ、ラブアンドピースだろ?」
「意味わかんねぇよ」
 ジリジリとした陽射しが少し弱まっている外を歩いて数分、背後から近付いてくる足音を避けることなく受け止める。飛びつかれるようになった最初の頃は前によろけていた体も今は慣れたもので、踏ん張ってみればどうってことなかった。今朝、僅かに寒さを感じた体には他人の体温はどこか心地よく感じる。汗を離れる気配もない肩から伸びたディノの腕をそのままに歩き出そうとすると「えっ」なんて素っ頓狂な声が耳元で聞こえては眉間に皺を寄せる。
「キース?」
「なんだよ」
 ジッと至近距離から見つめてくる空色の瞳は不思議なものを見るかのような色をしているが、その理由に見当もつかない。ぱちぱちと瞬きを繰り返した瞳が、嬉しそうに細められていく。
「……なんでもなーい。やっぱりラブアンドピースだなって思ってさ」
「はあ? ってお前、体重乗せんな」
 申し訳程度にでも地面についていたディノの足が、片方宙に浮いては重みが増す。流石に少しは涼しくなってきたとはいえ、暑苦しさや周囲からの視線を感じては引き剥がす。「残念だなぁ」なんて軽口を放ちながらぱっと離れたディノはようやくオレの隣に並んで。それを合図に止めていた足を動かしては学校へと向かう。ぴったりと背中にくっついていた熱が離れては物足りなさが僅かにあるのを感じながら、太陽みたいな元気の良さを目にしているだけでそれも気にならなくなっていた。
 寒さを感じて目を覚ますと、なんだか懐かしいものを見た気がした。まだ意識がぼうっとしても室内の、というよりもベッドの上の気配を感じては体を捩る。そこには予想通りディノの姿があって瞬きを数回繰り返しては部屋の中は暗く、朝が来ていないのだと理解できた。
 夏の青空を照らしている太陽の陽射しはキツすぎる。だから太陽の目覚めが遅くなっていくことには大歓迎だというのに、太陽みたいなディノはいつまででも見ていたいと思うから我ながら重症なのだろう。肩を竦めては、ディノへと腕を伸ばして抱きしめる。夢の中では背中で感じていた熱を正面から受け止めれるようになったのはつい最近のこと。暑苦しいと拒んでいたものを自ら求めれるようになるこの時期は昔から好きだった。気持ち良い。あったかい。愛してる。そんな思考が頭を埋め尽くしては、浮上したばかりの意識がもう一度ゆっくりと沈んでいった。
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20210918キスディノドロライ
初公開日: 2021年09月18日
最終更新日: 2021年09月18日
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第27回【お題:カクテル/夏の終わり】
ワンライ書くよ
# 鬼の始祖総受60分一本勝負お題 「終わり」「パートナー」「嬉し涙」 のいずれか
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