そこにはただ、地獄が在った。
鳴り渡る銃声に砲声、あちらこちらで炎が噴き上がって大地が砕ける。
そんなこの世の終わりのような光景に色を添えるのは、荘厳な合唱のようにうねり轟く絶叫だった。
オートボットも、ディセプティコンも、皆等しく武器を手にぶつかり合い、循環液を、冷却液を、インナーモストエネルゴンをびちゃびちゃと飛び散らせて叫び声を上げる。
そんな地獄の中。
紛い物の王と呼ばれたその機体は、ただ呆然と立ち尽くしていた。
腕が千切れ飛んだ。
腰から下が砕け散った。
光学兵器と思しき光が瞬いた瞬間、その場にいた三、四機がまとめて蒸発した。
辺りに渦巻き続ける絶叫と呻き声。
それほど鋭くないはずの嗅覚センサーが、エネルゴンが燃える匂いを吐き気がするほど濃厚に伝えてくる。
それらを直視し続けたダミーロードは、ひ、と排気を引きつらせてじり、と一歩下がろうとした。
だが動けない。
まるでその場に杭で留められたように、機体が動いてくれない。
一体どうして、と浅く吸排気を繰り返していたダミーロードは、そこでふと自分の手に視線を落としてひっと鋭く吸気する。
そう、何故ならば──。
“俺が、やった、のか”
──自分の手が、とても鮮やかなマゼンタピンクに染まっていたのだから。
「…………ミー」
「ぁ、あああっ、ぃや、いやだっ、いやだああああ」
「……ミー、ダミー!聞こえるか!」
「ちがうちがうちがうおれがしたんじゃない、ちがうんだおれはだれもこわしてないどうしてこんな、ちがうちがうちがうんだ」
「ダミー!」
バシン!と頬に走った衝撃と僅かな痛み。
それにハッとオプティックを開いたダミーロードは、ぜいぜいと吸排気を繰り返しながら目の前に立つマンタイプの名を呼ぶ。
「かっ、ぷ……?」
「いきなり叫び始めたから何かと思ったぞ……何だ、悪い夢でも見ていたのか」
「ゆ、め、」
「そうだ、スラブの上でスリープモードに入ったと思ったらいきなり──っうぉ!?」
唐突にダミーロードの腕が伸び、カップを引き寄せて閉じ込める。
カップは何事か抗議をしようと口を開くが、だがすぐに閉じる。
そして、そっと彼の頭に手をやってがしがしと乱暴に撫で始めた。
彼の頬を伝い、床に落ちる雫には気づかぬふりをして。
仲間を守りたい。
その一心で、ダミーロードは戦場へ身を投じた。
仲間を守りたい。
その一心で、ダミーロードは敵に向けた銃の引き金を引いた。
仲間を守りたい。
その一心で、ダミーロードは、敵を、向かってくるものを鏖殺した。
それが己の魂をどれほど焼き焦がし、腐らせ、濁らせるかを露ほどにも頭に置かずに。
そんな彼の征く道に光は差すのかは、今はまだ、神のみぞが知ることであろう。
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アイザリス
あと20分もしないうちに書き上げますので少々お待ちを……(U'ω')
18:33
アイザリス
書き上がったのでお渡ししますね(U'ω')一度この配信閉じます
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