「死にそう」
 いや、マジで。
 少女隊長から逃げ出してそんなに時間は経過していない。
 正直、累(かさね)まで出されるとは思っていなかった。
 というか累に関しては以前使ったときは死にそうになってたけど、今となってはそこそこ疲れる、ってくらいなんだな。
 何がどうなって疲れないのかは知らないけど、多分ジジイと訓練をしたからだと思っていいだろう。
 この手の俺の不思議な強化は、たいていジジイが絡んでいたりする。
「にしてもどうすっかな……」
 現在俺がいるのは先程まで居た東の端の反対、西の端だ。
 適当な使われていない備蓄倉庫で時を過ごす。
 累は使い所が難しい代わりにかなり大味な結果を出してくれる。
 あと、高所からの無衝撃着地がここで役に立つとは思っていなかった。
 なんなんだよこれまでジジイ計算してたのかよ怖いけどありがとう。
 ただ、反動はかなりでかい。
 体はあちこちが悲鳴を上げている。
 先程から上げているが、今回のは動かすと使い物にならなくなる系のやばい。
 正直、累を使うのは正解だったけど、今の状況を鑑みるに早計だったかもしれない。
「ふぅ……」
 息抜きをする。
 本来、体を弱らせる行為なので死ぬ近づく行為だ。
 だけど、先程の戦闘で使って気づいた。
 息抜きでも回復量があがる。
 多分死にかけると生きたいと思って体が頑張るとかそんなもんだろう(適当)
 呼吸をすると霊圧が出て、敵に見つかる可能性があるので、助かっている。
「ねむ……」
 だけど、息抜きが体を弱らせるというのは事実であり、この状態で使うと精神的にはきついのには変わらない。
 でも背に腹は変えられない、というか死に代わる生はないので、苦しいのは後回しにする。
 夜が明けるまでもう少し、というところか。
 早くてこのくらいに来てくれると踏んでいたが、流石に見積もりは甘かったようだ。
 先程から情報を集めている最中に一護たちの情報はなかった。
 おそらくは市丸ギンを斬った俺に対しての警戒心を上げたおかげで出回っていない可能性もある
 旅禍が侵入して何かをしている。
 その旅禍は隊長に迫る実力を持っている。
 それに複数人いるみたいだから、十分に警戒してかかる様に。
 それ全部俺。
 もし一護たちがすでに侵入していて潜伏しているなら、俺は見つける手段を失っている。
 あちらからアプローチしてほしいが、あちらが逆に俺を見つける手段が不足している。
 なので、俺はこれからも頑張るつもりでいかなければいけない。
 ……不安じゃないのって?
 不安だよ馬鹿野郎!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
 いや信じてるけどね!!!!!!!!!!!!
 怖いもんは怖いし寂しいもんは寂しい!!!!!!!!!!!
 ……と、心の中で叫びを続けていたのだが、今は寝ながら警戒をすることにしよう。
 緊張感的には、誰か一人でも入ってきたら起きるようにしておこう。
 殺意を向ける……とかの気持ちでいるとうっかり捕まる可能性もあるからな。
 それでは、おやすみなさい……。
☆☆☆☆☆
 飛び起きる。
 すぐさま臨戦態勢。
 寝ぼけ眼を使うのではなく、肌の感覚、匂い、気配を最大に使って現在の状況を理解する。
 視覚的情報は復活するのに時間を要するし、莫大な情報なので瞬時の対応に不向き。
 目の前にいるのは、
「……? 夜一さん?」
 女だ。
 体型やシルエットは女。
 だけど、気配や匂いは完全に夜一さん。
 適切に起きて対応したにもかかわらず、混乱している。
 だが、攻撃してきた時の対応はできる。
 息を抜け、最大限に生きることに集中しろ。
 すべてを生きることに繋げ。
「ふむ……思っていたのの数倍重症じゃな」
 言葉に騙されない。
 目は閉じたまま。
 一挙一足に集中する。
「これこれ、警戒するでない」
 次の瞬間、俺の目の前に夜一さんが現れる。
 と、同時に俺は夜一さんの背後に立っている。
 寝ぼけているが、本能は起きている。
 反応は良い。
「ほう……これを反応するとはな……」
「変に驚かせないでください」
 後一行動で切り捨てることはできるが、この一行動を詰めるまでが大変だ。
 ここらへんでやめてくれると助かるけど……
「やめじゃ。
 今のお主に冗談は通じないようじゃからの」
「結構やばい感じなので、真面目にしていただけると助かります」
「……ピンピンしている様に見えるがの」
「やせ我慢です」
「……なかなか単純なことをやっているんじゃの」
「大体そんなもんです。
 言い方がきれいなだけで」
 ようやっと俺は目を開けると、そこにいたのは褐色の美人。
 一瞬誰だ? となるが気配的に夜一さんであることは決まっている。
 でも、普通に驚く。
「なんじゃ、この姿がそんなに驚くもんかの?」
「いや、猫が人間になれば普通は驚くと思いますけど……」
「そうかの?」
「そうです」
 ノータイムの返しに頬を掻く夜一さん。
 正直、未だに目の前にいるのが夜一さんだと言う事実に驚きを隠せない。
 というか、マジで?
 夜一さんは床に座り込み、胡座をかく。
「まぁ良い。
 お主もかなりのダメージを追っているのは理解した。
 それに、街の様子を見る限り、かなり派手に立ち回った様子じゃの」
「一護たちが動き回りやすいように、です」
「しかしのぉ……一護が期待通りに動いてくれるかは別ではないかの?」
「は? 一護に隠密をしろと?」
 夜一さんの言葉に、思わず変に返してしまった。
 別に意図してやったわけではないのだが、自分の口を手で押さえる。
「……? 一護に隠密は期待していない?」
「あ、はい。
 一護はあんな感じですし、多分俺のことを探しながら、朽木さんを助けに行くと思うんですけど、多分見つからないようにとか無理ですね、髪の色からして」
「と、いうことは」
「本命は一護以外です。
 俺が事前に流した複数名の旅禍がすでに潜んでいる、という情報と、追加できた皆さんのこと。
 これで石田くん、井上さん、チャドの三人に朽木さんを見つけてもらおうとします」
 怒って無いようで良かった。
 夜一さんを始め、一護たちがどうやって侵入したかわからないが、おそらくは見つかっているはずだ。
 だからこそ、俺の巻いた情報が役に立つ。
「ということは、相手は儂らを人数以上の相手と認識した状態で相手にしている、と」
「それに目立つのは恐らく一護一人のみ。
 どうしても戦力は分散され、好きが生じます」
 そう、それが狙い。
 俺一人で攫ってからあっちが来てくれるのを待つのも良かったのだが、それでは朽木ルキアが目的だということが相手に伝わってしまう。
 だからこそ、食料庫を始め適当に襲撃を繰り返し、目的を分散させた。
 もし、俺と戦った隊長二人が朽木ルキアの奪還が目的だとわかっていても、現状の諍いを見逃せるような立場のようにも見えない。
 それくらいに戦火を大きくすることで、隙を作る。
「なんというか……やり口がコスいというか……」
「これくらいしないとこの規模にはどうにもならないと思いますが」
「それもそうじゃが」
 夜一さんは立ち上がり、何かを決めたような表情で、
「それじゃあまずはお主を回復させるかの」
「後半日くれれば最低限回復できます」
「いや、三時間で回復させる」
「え、俺の体なのにどうやれと?」
「回復させると言っておるじゃろうが」
 あ、回復アイテム的な?
「え、それ危なくないやつですよね」
「……死神でないものに使用しても良いのかの?」
「不安。超不安」
「別にいいじゃろう。
 お主は強い子じゃ」
「その漠然とした謎の期待やめてもらっていいですかね?
 怖すぎて怖いんですけど(重複)」
 夜一さんはにじり寄ってくる。
 俺の背後は出入り口なのですぐに逃げられるが、正直ここから外に出ても良いことはない。
 これは夜一さんに従うしか無いのか……
「分かりました、着いていきます」
「最初からそうしていれば良いのじゃ」
「夜一さんが不安に成ることを言うからでしょ」
「前例がないから仕方がないであろう」
 夜一さんは腰に手を当て、やれやれとした表情でこちらを見る。
 その様子に呆れながらも、体の様子を確かめる。
 あの寝たときから1時間経ったくらいか。
 多少は回復しているが、戦闘には荷が重い。
「……そういえば、なんで俺のことを見つけられたんですか?」
「喜助のやつがお主のマントに発振器をつけておいたのじゃ。
 良からぬことをしない用のものじゃが、役に立ったの」
 ……発信機?
 マントを見る。
 え、こわ。
 人に発信機付のものプレゼントするの?
 あの人ない考えてんの?
「ちなみに、発信機というよりマント全体で微弱な電波を発していて、それを探知する機械を持っておるので探しても無駄じゃよ」
「変に高性能……」
 それこれつけている間は対策できないじゃんかよ……。
「それでは行こうかの」
「え、どっかに行くんですか? アイテム的なものではなく」
「あぁ、そこはお主もよく知っている場所だと思うぞ」
「え、よく知っている場所? 来たの初めてですけど」
「付けばわかる」
 しっかりと着いてくるんじゃぞ? と言ったのに普通に頷いた。
 んでもってめちゃくちゃ早くてムカついた。
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BLEACH鬼滅二次創作 54話【連載】
初公開日: 2021年05月25日
最終更新日: 2021年05月25日
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BLEACH鬼滅の二次創作を書きます。
54話です。
前回のテキストライブ→https://txtlive.net/lr/1621348871400
次回のテキストライブ→まだ
作品URL→https://syosetu.org/novel/245544/
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