白い煙を吐き出す。それはゆらゆらと空に向かって立ち上り、溶けるように消えてゆく。墓前に立てる線香みたいだと、咥えたままの細い筒から灰が落下した。
 今日はやけに星が綺麗だなんてセンチな言葉が思い浮かんでしまうのは、悔しいけれど刷り込みに近いものだろう。「はっ」と無意識に笑い声を上げて、嫌いだと言われてお利口にやめていた、くっせぇ煙を肺の中一杯に吸い込んで吐き出した。
 ゲラゲラと狂ったように笑い声を上げては、ぴたりとそれをやめて「あーあ」と吸い殻を執拗に踏み潰す。
「レオナさん」
 舌打ちをして声の方へ視線をくべてやる。そいつは荒れた部屋をあえて掃除せず、一応学生だということを自覚してくれだのと文句と意見をごちゃごちゃ吐かす。
「利口なこった。なら余計な言葉は慎めよ」
「お〜こわ。レオナさんでも獲物を逃すこともあるんスねぇ。シシシッ、意外。お優しいこって」
「ラギー」
「まぁまぁ怒らないでくださいよ。あの子猫ちゃんにとってはハッピーエンドっしょ? 笑顔でいなきゃ」
「ラギー……お前の耳は飾りか?」
 それ以上は無駄な会話はなく、ラギーは手紙を預かったんだとか意味深な嫌味な笑みを残し「一人で寝るには寒い夜っスね〜」と部屋を出て行った。わざわざ追いかけて殺してやる気にもならない。
 妙に痒い背中を掻きながら、手紙……というよりメモだろという小さな紙を手に取って、俺は乾いた笑みを溢すほかなかった。
『背中に爪を立ててしまってすみませんでした』
 全て一方的だ。望みも叶えた、隣を許した、受け取るだけ受け取って、最後はこれかよ。
 謝罪というのは相手に許されて初めて成立するもんだと思っていたが、どうやら俺の思い違いだったらしい。
「謝るくらいなら最初から……ハッ、馬鹿らしい」
 握りつぶした最後の繋がりを砂にすることはできなかった。
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不要な傷痕
初公開日: 2021年05月01日
最終更新日: 2021年05月01日
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コメント
フライングワンライ第2回レオ監で『寒空』
未定
冗談が冗談に聞こえなくて喧嘩するマレ監
糸屑
エワ展示物を慌てて書く
ワートリオケがめちゃくちゃ良かったので、オーケストラ幻覚を出力しようかなって思って……オーケストラで…
なっと
トーン貼りばっかりやってる
コミティアに向けて、漫画を描いてる、その進捗
おフェム
灼・冬駿/満ちては欠ける
冬駿理不尽痴話喧嘩部の入部届です。
end