「ん…」
モゾり…と、自身の体が沈み込むソファからこの部屋の我が主が身じろぎした。
 「起きたのか」
主の目覚めに、主が眠っているソファの座面を背もたれにして床に座り静かに読書をしていた男が声をかける。
 「今…何、時だ…?」
その問いかけに読書をしていた男は本の項を閉じると眼鏡の奥の瞳をチラリとこちらに向けた。
 
 「11時を少し過ぎたところだ」
 「ん。ワリィ…眠っちまって…」
 「別に構わない 疲れてるんだろう?今日も随分と派手に遊んでいたようだからね」
 「アイツらが…しつけーんだよ…」
 「まぁ…いつか、みたいに…?突然水ぶっかけられ、るより…マシだけどよ……」
 「全く眠気に勝ててないな、我がボスは」
揺れる睫毛に両瞼を数回閉じながら小さく言葉を紡いでいるその顔は楽しそうに笑っている。
それを優しい瞳で見つめながら言葉を返す男の口元は緩やかだ。
いつの日にかあった出来事を楽しい思い出にして笑っている二人がいる。
「……やっぱ、ねむ…」と掠れる声で呟く主に、「わかった」と短く答え男はソファに横たわる主をゆっくりと抱え上げていく。
 「腕、上にまわせるか?」
 「ん……すげ、持てるんだな…?」
 「“誰”の右腕だと思ってるんだ? これくらいは当然だろう」
抱え上げられた一人と、抱え上げた一人は支えあいながら背中を向けて歩き出し少しずつ影になる。
カチ…カチ…カチ…カチ…
正確に、緩やかに、確実に、忙しなく、静謐に、止まることなく、みな平等に、幾千幾代。
この世 全てのものに 対等に 寸分の乱れもなく 等しく流れる時間。
その中でこの部屋の世界の時間はワタシが二人のためだけに刻む。
この世界の誰も知らない、この二人さえも知らない、名もない時をワタシは刻む。
カチ…カチ…カチ…カチ…
二人の影が消えた後。
ワタシの細々とした小さな鼓動以外の音が消え、静寂に包まれた空間になる。
次に消えた影が動きだすのは朝の陽ざしが柔らかくこの部屋に差し込む頃。
手際よく珈琲を淹れる彼の後ろ姿とその後ろ姿を欠伸をしながら優しい瞳で見つめる主の横顔が映る、見慣れた名もなき時間を刻むまで。
ワタシはカチリカチリと鼓動を鳴らす。名もなき時の末。
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作業用BGM:
HYPNOSISMIC-Division Rap Battle- 2nd D.R.B
「Reason to FIGHT」 Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW  シブハマバトル曲
◇2021.04.03 PM 11:34 TwitterにUP済
◇2021.04.04 AM 10:12 pixivUP済 
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刑桐(無窮)
初公開日: 2021年04月04日
最終更新日: 2021年04月04日
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コメント
【刑桐】無機物モブ。無機物モブ愛好家より刑桐へのラブレター。
別のテキストに書き溜めたのを、ココッ!って選択してピッ!って貼ったので執筆過程は皆無。コピーってすごい。
作業用BGM:このテンションの情緒で大丈夫か?キーボード打ってる最中に気づいたら何度もプチョヘンザしてて誤字脱字やばい。
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