はらり、と何かが優しく揺れたような音が聞こえたような気配と共に顔の上に影が差した。
「よぉ、こんなところで無防備にうたた寝しててもいいのか?生徒会長さん」
その声に閉じていた瞳を開くと、明るい緑青色をした瞳とからかうような笑顔で影をつくった主がこちらを覗き込んでいた。瞳と同じく、明るい色を纏い木陰に流れる風に合わせてサラリと動く髪色は優しさを滲ませ、その髪が太陽の光できらきらと揺れている。
「たまには書類や不良生徒の相手ではなく、太陽の光を浴びないと、と思ってな」
木陰の下、暑い日の光和らげる緑の影と吹き抜けていく風がいい塩梅で心地よい芝生の上に横になり、体を休める体勢で仰向けの状態のまま返すとその答えに桐ケ谷が「そうかよ」と楽しそうな顔で言う。
校庭の隅。どこの学校にもありがちな風景の、柔らかな芝生と等間隔で木が植えてあるスポット…休息するには絶好な場所がある。
ここは絶好の場所だがなぜか人通りも休もうとする生徒は殆どと言っていいほどいない。噂では〈不良生徒のボス・桐ケ谷のお気に入りの場所〉だとかで真面目な生徒は近づこうとしないし、桐ケ谷を慕う他の不良たちはボスが休憩していた場合を考え出来るだけ邪魔しないようにという配慮がそれなりにあるらしい。
…まぁこの噂はたまにお互いが息抜きできる場所を確保するために意図的に流したものだが。
「お前も“休み”に来たんだろう?」
「あー、でも絶賛サボり中の先客さまがいるからなぁ?」
「出席日数と単位と相談すれば少しの休憩に入る程度だ まぁ…人通りが少ないとは言え、流石に仲良く昼寝とはいかないな」
「はは、だよな」
お互いの今の立場を考えれば校内で顔を合わせて笑いあいながら話すことも出来ない。こういう時間も、滅多にない。
桐ケ谷の…光に透けて太陽の眩しさを緩和しながらサラサラと揺れる髪と真っ直ぐにこちらをみてくれる瞳は青空にある太陽なんかよりよほど輝いて見える。
ずっと隣を歩いてきた、歩む道を照らしてくれた太陽。
「じゃあ俺別のとこでサボるわ」
片手を制服のスラックスのポケットに差し、後ろ手で左手を振って歩いていく。
出会った頃。
あの時、この手を取り、目の前の道を照らす光として進むための世界を示してくれたこの輝きを。
この太陽を 自分の手に掴みたい。
「好きだ、お前が」
小さく零れ出た言葉に、木漏れ日を受けた緑青に輝く瞳のマンダリンオレンジ色の太陽は振り返り笑って見つめ返してきた。
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最終作業用BGM:
HYPNOSISMIC-Division Rap Battle- 2nd D.R.B
「Reason to FIGHT」 Fling Posse VS MAD TRIGGER CREW シブハマバトル曲
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◇2021.03.31 00:40 pixivUP済