タイタン地区壁外。森の中。
背の高い木々の下に、中くらいの木々が生えており、太陽の光が遮られた薄暗い森。
1人の女性が胸元を貫かれて木に横たわっていた。白いシルクのような生地のワンピースに、赤色の血が広がっている。ドクドクと流れ出る赤は増えていく。息は短く、衰弱している。
ガシガシ、ガシガシ
鈍く地面を響かせるような音で、奇妙な四足歩行の箱が近づいてくる。
ガシガシ、ガシガシ
箱に無数に付いているレンズが開く。横たわる女性を観察する。そして、箱は何かに気づいた。箱は、彼女の頭を覆い隠せるようなくぼみを作り出し、ガッポリと頭部を包み込んだ。
ごとり、
彼女の頭部は完全になくなっていた。
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目が覚める。暗闇にいた。何も見えない。けれど自分があるのは分かった。ここにある。私は心臓を貫かれてフラフラと何かに寄り掛かって、死を待った。死んだら何もなくなり、永遠に目覚めこともなく夢を見ることもないと聞いたことがある。
実感してみて、死は思ったよりも思考する時間を与えてくれるのだなという不思議な感覚だった。本来なら脳みその回路が使い物にならなくなっているなら、思考することさえもままならないのに、どうやら死んでも思考することは可能らしい。
そこのお嬢さん
唐突に男性の声が想起される。聞いたことのない声のように聞こえる。そんな気がする。
いえ、空耳とかノイズとかではないですよ。本当にあなたに喋りかけているのです。
今度はハッキリと聞こえてくる。何なんだ。
ひとまず結論から言いましょう。私達は脳みそだけで生きています。首脳会談ならぬ、死脳会議を行っているんですよ。
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向き
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死を回収する
初公開日: 2021年03月24日
最終更新日: 2021年06月14日
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