(かぐや姫の前日談 脱皮 青年をクローンにするか悩む)
ズッーーー
顔から血を流して、悲壮な顔をした青色の目をした青年が這いずっている。その姿を見てハッと思い助けに行こうと思ったが足が止まった。
その後ろからは、ウジャウジャとイギイギと音を発している巨大な化け物が長く太い尾を引きずって迫ってくる。
その背は木々よりも高く。腕は木の胴よりも太い。
ヒッ
男はそれを見て声を上げて茂みに隠れてしまった。女の進行に変化はない。
よく見るとそれは髪の長い人の女性であるようだったが、身体の至るところが機械により修復され増築され、尾からは無数の手足が生えている。人の手のようなものも見えた。おぞましい化け物だった。
手が震えていた。足が震えていた。逃げるのさえ無理だった。彼の元に駆け寄る足はなかった。息を殺すのに精一杯だった。汗が落ちる。
ズンズンと進んでいき、女は青年を抱きかかえた。
その時にちらりと見えた顔を見て茂みの男は失神した。
女の顔には無数の目が埋め込まれてあった。目、目、目、至るところに目があった。いや、よく見て見るなら、蛇の胴体にも無数の目やカメラのレンズが埋め込まれていた。
女は青年の両目玉を抜き取った。
「、、、、、、!!!」
声にならない叫びが森を突き抜けた。男はジタバタと発狂し、そして気を失って静かになった。
女は口を大きく開けると、その中からウジャウジャとした機械のミミズが落ちてくる。そして、その目玉にまとわり付いたかと思うとのたうち回って地面落ちて動かなくなった。
イギイギ イギイギ
それを見た女は、自分の顔にあった目玉を二つ剥ぎ取り、男から奪った目玉を代わりに入れた。
女は身体を捻っていた。このままでは、この記憶にやられてしまう。この核に吸い込まれてしまう。女はそれを分かっていたがのた打ち回り木々を押し倒し、地面に爪を突き立ててウジャウジャとイギイギと言いながら、表現できない感情に襲われていた。
女は脳裏が光によって焼き付くされているように感じていた。忘れていたものだった。しかし、確かに僅かではあるが知っているものだった。感じたことのあるものだった。脳裏を焼いた。それは強烈に美しく。あらゆる無残な暴虐を恥ずかしいとさえ思うほどに脳から身体へ信号が行き渡った。