茶の香りが満ちていた。暖かな陽射しを存分に取り込んだ明るい店内には、気候に相応しい朗らかな談笑が響く。そのほとんどが、魔術研究のために設立された学園の制服を纏っていた。彼らふたりも例外なく。
「考え直してくれ。なにも今すぐじゃなくたっていいだろう? 教授に相談するとか、学会発表して反応を待つとか……」
「まあ、世の在り方に大きく影響するだろうと思って、それなりに事前の根回しはしたさ」
「なら」
 ふたりの声は、店内に大きく響くわけではなかった。だが剣呑ではあった。すぐ隣の座席に座った気の弱そうな女子生徒などは、時折不安そうに彼らの様子を見ていたが、その程度だ。大半の客は、理性的に剣呑な空気を纏っているふたりなどには目もくれず、店の真ん中で大喧嘩を始めた男女のほうに気を取られていた。小柄なほうが、少々乱暴にカップを置いたところで咎める者はいなかった。
「だめだった。それどころか、あいつら、とっくにこのことを知って利用していやがった」
「それじゃあ、本当に人柱──」
「そうだ。だから今すぐにでも聖堂から妹を連れ出す」
「ちょぉっ──!」
 白昼堂々犯罪の宣言をする友人に胆が冷えた大柄なほうは息を呑んだが、そんな声はカップが派手に割れる音にかき消される。カップルらしき者達の喧嘩がヒートアップし、物理的な被害が出始めていた。
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即興小説15分
お題:絶望的な決別
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【書く前】
絶望的な決別っていかにもシリアス。ファンタジーSF系でいけそう。絶望的なまでの決別はなんでもない日常の中で起きて、その結果は派手に返ってくるみたいなのとか
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【書いた後】
『魔法』は、人の命をリソースとして使うことのできるものだったとかそういう。生まれつき身体が弱いとかで、軍事利用もできなそうな子から『聖人』を選んで、その子らの命を──みたいな。『聖人』は神の力を宿すから寿命が短いという建前
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