足元は草一本生えない大地が広がり、上空には真っ黒な雲が垂れ込み雷を生み出す。おおよそ文明など存在しようもないように見受けられる荒寥とした大地にひとつ、似つかわしくない巨大で荘厳な建造物が聳え立っていた。魔王城である。
「……うそ、今年の食糧、これだけ?」
 陽の光の恩恵を受けられない城内はとにかく寒い。玉座と思しき華美な装飾の施された椅子の上には幾重にも重なった毛布にくるまった少女が鎮座していた。
「本当にこれだけであります。百年前にコアが消失してからというもの、常に右肩下がりでしたが、とうとう我が魔王領に住まう者も一桁となりまして」
「一桁というか、城内の者しかおらんのじゃろ?」
「そうですね。私と姫様と、料理長、メイド長、それから捕虜の姫騎士だけです。報告に上げました作物は姫騎士に与えた庭の一角で採れたものとなります」
「え、なに? これ家庭菜園の出来映えってこと?」
「そうですね」
「待て。一瞬受け入れてしもうたが、捕虜の姫騎士って何者じゃ? 政治も軍事も担当するもんがおらぬというのに、なんで捕虜だけおるんじゃ」
「強すぎて近隣の魔王領も一人で次から次へと征服したらしいのですが、我が魔王領があまりにも閑散としすぎている上、作物も自生しておらずいき倒れているところを料理長が拾ったそうです」
 淡々と報告を続ける側近を尻目に、姫──次期魔王は唸った。
「やはり、人間界への侵略しか手はないか」
「……皆、人間界へ侵出しようとしたがりますが、なにがあるというのです? 私の印象では脆弱な者どもが群れているだけのつまらぬ土地でしかありませんが」
「お前はまあ、ちょっと魔族の中でもアレじゃしな……。だが我は人間界にしかないという宝が欲しい」
「宝?」
「フハハハハ! しらんのか? 春じゃよ、春!」
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即興小説15分
お題:フハハハハ!それは春
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【書く前】
どう考えてもギャグやろ。癖強めの芸人か、我が輩系人外、もしくは中二病、魔王、四天王、現代に居着いた悪魔
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【書いた後】
侵略じゃー! って言いながらただの人間界移住計画になりそうな一行。側近は多分戦闘狂。
ギャグっぽいやつは会話中心で書いた方が即興の時は組み立てやすい気がする。ギャグが大事な時って情緒とかあんまいらんしな。さーって読める方がいいもんな。ただ、どういう見た目とかそういう情報は抜け落ちがちだから、本当に書こうと思った時はその辺のバランスが難しそう。
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