秋彦side
けたたましく鳴らされる呼び鈴と、ドアを叩きつける音。
「あーーーきーーーひーーーこーーー」
最初は無視してやろうかと思ったが、玄関の前で、名を叫ばれれば、開けないわけにはいかない。
「はい、はい、はい!」
ちょっと待ってろ。近所迷惑になるような場所に住んでなくて良かった。
予想してなかった訪問者には、身体が思うように動かない。楽譜を避けながら、いつもより遠く感じる玄関に向かう。
「あーーきひーーこ !開けて !あきひこくーーん」
相当呑んだな。
と、同時に嫌な胸騒ぎが襲ってくる。
ここまで1人で歩いてきたのか?酔っ払って?それは、難しいよな。だとしたら、嫌な予感がする。
「はいよ。」
警戒しながらゆっくりとドアを開けた。
そこに立っていたのは、予想を裏切らない酔っ払い春樹と、見たこともない男。
誰だ?こいつ...ゼミのやつか?だからって...
視線が、上から下に動く。
近すぎ。
なんで、そこに、手があるんだ?
なんの疑いもなく身を預ける春樹。
お前は、もっと警戒しろって言ってんだろ。
「あぁぁ !秋彦だぁ あきひこぉ」
ふらつきながら、俺の腕の中にぽふっと収まってくる。
「おい、春樹、寝るな..たく..酔っ払い、飲みすぎ。」
「んん...」
眠そうな声、
「すみません。めちゃくちゃ呑んだって言うか、盛り上がっちゃって」
「ああ、悪かったな」
詫びてはいるが、確実に愛想がないうえに、威嚇してる。
たぶん春樹の後輩、もしかしたら、俺より年上かもしれないけど、向こうは俺の事歳上と思ってるっぽいから、そのままにしておく。
こうなる前に、迎えに呼べばいいのに。
頼りないか...俺は...
「じゃ、俺帰りますね。春樹さんまた。」
「んーーーaクン ありがとう。また...ね」
クスリ
aクンと呼ばれた男が小さく笑った。
あ、この顔は知ってる。
俺も昔よく使った顔、だ。
"大切なものにはちゃんと鍵かけておかないと、簡単になくしちゃいますよ"っていう...宣戦布告みたいなやつ。"今日のところは、ちゃんと返しましたけどね"口元がそう訴える。
クソッ
これは、一緒に行くべきだったか?
次は着いてく。
絶対行く。
「あきひこ?」
俺からの不穏な空気を読み取ったのか、ベッタリくっついていた春樹が不思議そうに見上げてくる。
ほんのり紅くなった頬も、潤んだ瞳も、艶めいてる唇も、色っぽい。
はぁ...
これだもんなぁ。
「おかえり」
扉が完全に閉まる前、見せつけるみたいなキスをする。
"コイツは 俺のだから。わかってるとおもうけど"
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向き
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秋春 猫耳
初公開日: 2020年12月21日
最終更新日: 2020年12月21日
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ギヴン
秋春
秋彦目線
モブクン出てきます
なんでも許せる方向け