まだ手の平に体温が残っている気がする。
 そのような気がして新田はデスクの前で、手を握ったり開いたりを繰り返していた。周りには新田と同じ年頃の学生が数多いるが、一見不審な彼の行動を気に留める者はいない。皆、デスクの前の問題を解くのに必死になっていた。目をつけるとしたら、テストの試験官くらいのものだ。その試験官も、模擬テストだからと気を抜いているのか、一瞬新田を不審げな目で見て、再び教室全体を見渡している。
 学校とは違うだだっ広い教室。カリカリと鉛筆の滑る音と、誰かの咳払いする音と、服の擦れる音くらいしかない。急に立ち上がって、大声で叫びたくなる衝動を、新田はぐっと抑えた。抑えるために両手を握ると、昨日の感触が戻ってくる。目を閉じれば光景すら蘇って来る。
「あらたくんって、お勉強できてすごいわよね~」
 間延びした女の声。素性も知らない、ただ、年上であることだけはたしかだった。塾の帰り、深夜の通りをふらつきながら帰っているところを引き摺り込まれてから、それなりの時は経っていた。別に特段美人でもない。だが、不自然な薄着は、いかにも後ろに厄介な男がついていそうな感じではあった。
「でも、ちょっと世間知らずっぽかったからね~」
 女から煙が吐き出される。周りを囲むガラの悪い男達と同じ臭いだ。何人いるかは知らないが、両手を縛られながら、新田は「またか」と思っていた。
「しかも手を出してこないから、いつものやつ使えなかったし。ちょっと面倒だったかな」
 甘えた声を捨てて、けだるそうに女は吐き捨てた。後ろの男がどこかに電話をかけている。金を寄越せという常套文句を吐いているのが新田の耳にも届いていた。
「大人しくしてれば、痛くしないでおいてあげるから。まあ……おうちに帰れるかどうかは、パパさんの対応次第だけど」
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即興小説15分
お題:昨日の感覚
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【書く前】
昨日嬉しいことがあってその感覚がまだ残ってるとかそういう甘酸っぱいやつ?
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【書いた後】
全然甘酸っぱくねえわ。誘拐されとるわ。
いつも文の装飾がくどすぎる気がして、シンプルめを心がけたけど、ちょっと単調過ぎる?? ここ数日シンプルめにしてるからか、話は短い文字数の中でも進んでるような気がしなくもない。完結はどのみちしてないけど。あとやっぱり三人称で書く方が時間かかる。実況タイプではなく、語るタイプの一人称で書くのが一番早いかな。実況タイプはそもそも読むこともないから再現できないし。現代ものなら、特別な状況説明がいらないから一人称でもやりやすいけど、書きたい異世界なファンタジーだと三人称じゃないと建物の作りとか描写しにくい欠点がなあ。
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