#ク(とゲストのエンダちゃん)
#カップリングではない 強いて言うならクルタイだし
 竜の腹の下で、男は目覚めた。
 永の年月を経て岩石よりも硬くなった乳白色の曲面は、この世のものとは思えぬ不可思議な光沢を湛えている。しかしそこに赤い筋がいくたりか、じわじわと滑り落ちて罅を入れる。ちゃぷり、と耳元で音がした。かつて竜の熱気で煮えたぎるほどだった湖が、今は男の体を生温く浸している。滴り落ちてきた血はなお冷えていた。
 魔将ク・ルームが、熱を感じなくなった己の身体をかこつことは無かった。もはや今となっては、かつて感じていたかも怪しいものだった。
 彼はゆっくりと顔を上げ、やがてあることに気付いた。塔を登るように竜の首を追っていった先、己の血肉にまみれてなお魔性の色彩を放つ喉元の辺りに、ひとつ、平板な箇所がある。詳しく観察するより先に悟った。竜王は鱗を欠いていたのだ。
 その喉元を打ち貫けば、男は英雄になっていただろう。巨体のゆえに留まることを知らぬ竜が一息に横断するこの荒野一帯に鋤が入り、牛が飼われてなお、延々と語り継がれる名声を得ただろう。牧人が彼を讃えて歌うだろうか。戦では彼の威を借りようと、つわものたちが叫ぶだろうか。
 そんなこと一切が、ちらとも口惜しく思えない。
 彼はつまらぬ男だった。人に対しても寡言で、耳元で小鳥に助言を囁かれるようなことなど尚更なかった。それでも代わりに天高くから烏に嘲られないのだから、むしろ幸運だと思ってきた。
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【途中】るいな二次創作 英雄回廊
初公開日: 2020年10月27日
最終更新日: 2020年10月27日
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コメント
常若の護符固定ドロップさん
アクセサリ連作にしたい(もう三つぐらい書きたい)