「本日のご予定ですが、執務後に会食が一件入っております。中央のラストン様と、大通りの酒場……こちら会食ではなく宴会という認識でよろしいでしょうか」
豪華にしつらえられた無駄に広い部屋の中に、メイドの涼やかな声が響く。
責めるような声色ではないのだが、いかんせん負い目を勝手に感じているからか、そのように聞こえた。
「様式としては宴会だけど、これも大事な仕事のうちだ。こういったものに細かく顔を出しておかないと、こんな零細領なんてひといきで飛ばされてしまう」
「去年も随分と税収が上げられていたようですし、効果的であるとは言えないのではないでしょうか」
「王が替わられた上に、中央を取り仕切っている顔ぶれも一新されてしまったからなあ。繋がりも何もできていないうちにトントン拍子に……」
昨年の大会議の様子を思い出して胃が痛くなる。上が替わったその瞬間は、中央から物理的に近いか血が近い者に良い座席を奪われてしまいがちなのは重々承知していたが、あそこまであからさまに贔屓を表に出されてしまっては、足掻けば足掻くだけ泥沼に嵌まっていくようなものだった。
「まあ……ノネットが言うとおり、今のやり方のままじゃ効果は薄いんだろうな」
「薄く顔を売るよりも、中央への太い──おや?」
来客を知らせる音だった。こんなド田舎の面積だけは広い屋敷に来客の予定はなかったはず。
現に一階からは少々揉めるような慌ただしい物音と人の声が上がっている。争う、というには穏便すぎることを考えると、強盗が呼び鈴を鳴らしてやってきたというわけではないことはわかる。そしてその物音がすぐ扉の前まで迫ってくるのも。
「インノルド様!」
断りなく開かれた扉から現れたのは、ひらひらとした衣服を纏った小さな子供──少女というべきか──だった。
部屋に現れたと認識した次の瞬間には既に腰周りに巻き付いている。暗殺者も驚きの手際だ。
「わたくし、寂しくて寂しくて、こうして会いに来てしまったんですの!」
「ははっ……いや、こんな田舎までわざわざいらっしゃらなくても、中央にはたくさんの従者がいるではないですか」
「そういう問題ではないってわかっていらっしゃるくせに!」
わざとらしく頬を膨らませて見上げてくるお嬢だが、そんなものに目をくれている暇はない。室温が下がっている。とても。
「来客のご予定があるならば、事前に知らせていただきたいのですが」
メイドの声は涼やかを通り越して冷ややかであった。
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即興小説15分
お題:もしかして嫉妬
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【書く前】
「もしかしてだけど~♪」って一瞬にして脳内で流れたけど方向性違うな。
順当にいけばラブコメ。好きな方向性でいくと、心なんてありませんと言い張るアンドロイドとかクールメイド
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【書いた後】
田舎貴族なのにモテちゃって困るぜ的な。
お嬢はさみしがりやの恋に恋する乙女なだけだから、たぶん普通にいきなり遊びに来る子供みたいなポジションにおさまりそう。
メイドさんはたぶん恋人。
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