箱入り娘。深窓の令嬢。高嶺の花。
そんな言葉の似合う人に憧れていた。私もそうなりたいと思った。だが一般家庭──それもハイテンション一家と町内会でも名高い我が家に生まれた時点で、夢は絶たれていた。
しかし夢は諦めるものではなく掴むもの。家のせいで夢が叶わず、ただ悲劇のヒロインになるだなんてことは許せない質なのである。
高校の入学式、その日から彼女は夢を叶えた。高校デビューというやつである。
皆の視線は彼女に釘付けだった。瞬く間に学年中にその名は知れ渡った。彼女を知らぬものなど誰もいない。夢を叶えるためには手段を選ばない彼女の名を。
涼やかな声。たおやかな仕草。しとやかな言葉遣い。
なによりも、その頭上の白い箱から目を離せる者はいなかった。
初めてのホームルーム。彼女の気持ちは高揚していた。皆の視線が集まっていることに。噂になっていることに。
「おーい白井。そのふざけた箱外せー」
「ですが先生。わたくし、箱入り娘なものでして……」
「そういうのいいから。入学式は一発芸かますところじゃないから」
彼女の夢は儚く散った。
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即興小説15分
お題:箱の中のあのひと
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テキストライブを立ち上げる前に即興小説開始してしまって配信できなかったもの