21時に開け、22時までに終わらせる予定です。
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本日のテーマ「制服」
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制服、制服か。。。
イデアはそもそもちゃんと着てないしな
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誰かにこんな『酷いことをする』日が来るなんて思わなかった。
まだ外は明るいし……部屋は明かりがついているから二十四時間同じ明るさだけれど、それでも、外が明るい時間かどうかというのは結構重要なことだと思う。
これ以上なく勝手な話だ。
この時間だと『オルトが帰ってこないから』こういうことをしている。
(僕は本当に自分勝手だな……)
イデアは自分が組み敷いた下を見下ろし、汚された人魚を見つめる。
可哀想に彼は陸の上にあるシーツの海に溺れながら、甘ったるいため息を吐いた。
「イデアさん……」
「あ……うん」
ごめん、と言いそうになって飲み込む。
今のは『キスをしてほしい』なのだ、謝ってほしいわけではなくて。
なので軽くキスをして、それから改めて見下ろす。
衝動的に、けれど、充電が必要な『弟』には見つからないように、この時間だったら大丈夫、と何処かで判断するというずるがしこい計算を持って、アズールを抱いた。こういうことは初めてではない。
そういう計算はしたけれど、彼のことは何も思いやっていなかったので、制服のままことに至ってしまい、ベッドの上に散らばってクシャクシャで、ぐちゃぐちゃだ。
ジャケットは敷かれてしまったし、シャツや、中途半端に脱がせたズボンも、下着も、ローションや精液がついてしまっている。
今すぐ倒れこみたいけれどとんでもない状況だ、せめて、抜くだけは抜いて、と、イデアはおそるおそる彼から去り、せめて自分の汚れでは汚さないように慎重にふき取った。
ぐったりしたアズールの下腹部の汚れをティッシュで拭き、気だるい様子のアズールに、改めて『ごめんね』という。
「何がですか……」
「制服、結構ぐちゃぐちゃにしちゃった」
「ああ……そうですね……」
ふわふわしている。自慢の頭脳もこの状況では動かないのだろう。
「良いです、別に……」
眠そうにしながら、仕草でイデアを呼ぶ。
片膝に引っ掛かった下を脱がせてほしい、というジェスチャーをされたので、服は脱がせながら拭ける所は拭いて、椅子に引っ掛けて……。
行為が終わった後に服を脱がせるというのはどうなんだろう、と思いつつ、イデアさん、とアズールが呼ぶので布団に戻った。
一緒に眠りたい、という甘えだ。
ひと眠りして起きたら、夜だろう。この人魚を海に返さなければならない。時間があべこべの様な気がするけれど、結果的に効率を考えるとそうなる。
潜り込むと、アズールはすり寄ってくる。
腕の中に納まってホッとした顔をする。そんなに……弱みを見せないでほしい。
イデアとの関係と、双子との関係を考えたら、絶対にあちらの方が重い。
もし何かがあって『どちらかを選ぶ』必要が出た時、アズールはあちらを選ぶだろうと思う。
けれど、長い付き合いがあり、背中合わせのような関係であるからこそ、彼らに対してはこういう風には甘えられないだろうな、と思う。
勿論、イデアに対しても人前でこういうそぶりをすることはないのだけれど、それでも二人きりで、甘い時間を過ごした後や、アズールが甘える気分の時はこういう顔をして見せる。
ここが唯一の居場所、というような、甘い顔を。
「アズール氏、眠い?」
「はい、……ねむると、なにかまずいんですか……?」
うとうとしながら、それでも帰らねばならないのならベッドから出なくては、という気配を漂わせるのは健気だ。ううん。と否定して抱きしめた。
「制服、かなり汚しちゃったから……明日大丈夫かなって……」
「ああ、予備があるので……問題はないです」
「ジャケットもパンツも?」
「はい、どちらも」
「なんか、準備万端というか……アズール氏自体もそうだけど、おうちの感じからこう、計画的だね……」
制服、という事は入学時に実家が用意してくれているのだろう。
実家はレストラン経営と言っていたような気がする。飲食経営で何不自由なくナイトレイブンカレッジで過ごせているというのはそこそこ成功しているほうだろう。なので、そういう、商売人の血が流れているのだろう、と思うのだが。
「いえ、制服は……今年に入ってから買い足しました」
「え、そうなの?」
予想外の発言に、聞き返してしまう。
「はい……まぁ、あなたと、こうなりますから」
「……サーセン、ほんと……ごめんなさい」
「いえ、良いんです」
アズールはふわふわしたまま、ふふ、と笑う。
「それを知ったらあなた、次からは遠慮しなくて良いでしょう?」
「……アズール、」
あのね。
あんまりそういうことを言うんじゃない、と、呆れる。
僕は強欲なので、と、消え入りそうな声でアズールは呟いた。
シーツの海の中、その声は泡となってパチンとはじける。
深く沈んでいくその身体を抱きしめて、イデアはその覚悟に身を寄せた。