ドレスローザを包囲するように合同艦隊は陣形を変え、マリージョア兵達は躊躇うことなく国へと乗り込んで行く。表向きは副隊長を捉えるため援護に来たとなっているが、そもそもドレスローザからしてみればサカズキ自体が招かれざる客だった。追加でマリージョア兵が来られてはたまったものではない。
数刻前から国のあちこちで噴煙が上がり、その度に逃げ惑う国民の悲鳴が空を突く。
…のだろうな、とセンゴクは粉塵に霞むドレスローザの上空を観察していた。隣には末部局員が待機し、雑談に付き合っている。
「出揃ったかね?」
「本人がまだです。」
「おおよそあれは違う所に行くのだろう。一応は国の頭だ。山の大将ではない。」
えぇ、と呆気なく頷く末部局員は双眼鏡を覗いて立っていた。
コロッセオを中心に巻き起こる乱戦は、店や屋台、行き交う民衆を押し倒して広がり続ける。その混乱の合間を縫うように副隊長は走っていた。しかも追うサカズキは、民間人への被害よりもターゲット討伐に重きを置くタイプ。余計に混乱は酷くなる。
そんな追いかけっこの反対側、コロッセオの裏口ではドフラミンゴが海兵相手に脅しを掛けていた。
「この国の海兵ならば見逃してやる。だが連中のなら死んでもらう。」
こいつらみたいにな?
とコロッセオ内の海賊達を蹴飛ばして、苛立たしそうに吐き捨てた。コロッセオの外から中へ入るのは簡単だ。だが出られると勘違いされては困る。
ドフラミンゴは倒れる時計塔を眺めながら、国の立場について不満を募らせた。
国を荒らしているのはサカズキとマリージョア兵だ。派手に建物を壊しているのだから、反撃されるのは覚悟の上でなのだろう。さらにはその反撃を誘発するために〈海賊嫌い〉のサカズキがけしかけられたとすら思われる。
これでファミリー側が手を出したら反逆だと理由をつけて、三機関合同艦隊と言う…総力と言ってもいい艦隊で国が滅ぼされる。それに異議を唱えるのがセンゴクであり、同時に邪険にされつつある海軍と政府の間へ亀裂が入る。
で、嬢ちゃんが出てくる、と。
現段階で勝ち目はないな、とドフラミンゴは苛立ちながらも冷静に判断を下した。
それでもサカズキは政府に協力的とは言えない性格だったはず。なのにここに来て副隊長を追っていると言うことは、因縁があるとしか思えない。
「…あぁジャヤ海域で出し抜かれて…か。なら政府はアラバスタでボロ負けして。」
国を見る限りサカズキの部隊ばかりが動き回って、他の海兵達は海上で待機している。海上の艦隊を率いているのがセンゴクならば、あれらは民間人保護と脱出しようとする海賊の討伐を指示されたのだろう。
つまり、国には敵ばかり。
包囲されたドレスローザに逃げ場などないし、七武海討伐なんか始まれば失うものも多い。敵を殲滅するにはファミリーを総動員しても厳しさが残るだろうから、抜け道を探す必要がある。
降参するのは気に食わない。
王位を譲るのも癪に障る。
ドフラミンゴは王宮へと戻りながら、知らぬ間に解消していた通信障害を疑いつつセンゴクへと連絡をとった。
「おい、この場所に嬢ちゃん側のはいねぇのか?」
「タイプが遣いで来るはずだ。グリーンビットと王家が欲しいんだと。」
「その王家を仕立て上げろ。」
「暴れん坊将軍に小細工は期待できん。ルッチが内部監査局と合流したらしい。そっちを使え。」
懸念はセンゴクも同じだったらしく、皮肉の一つも言われなかった。珍しいこともあったものだと笑い、機嫌を直したドフラミンゴはタイプとやらを探し始める。
仕方がないので一時後退。影武者として王家を立てて、終戦に持っていくのが最適だろう。ついでにマリージョア連中とハービンジャーをぶつけて、古細菌の程度を試してもいい。
後手の支度は嬢ちゃんがやっているはず。
求められているのは現場の終息と、複数いる餌の消滅だった。
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他人に当てるリベンジ
初公開日: 2020年08月18日
最終更新日: 2020年08月27日
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コメント
餌を逃がした時
餌にしてらやれた時
庭を攻める理由ができた時
特殊依頼、河川工事
奥川原町で起こった境界線の歪みを直したい話。
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だから、俺は旅をした。
ハービンジャー。だから俺らは先を行く。下を示されたなら下へ下へ。星の屑となろうとも、俺らは先駆け。 …
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