ぽつぽつ下書き大筋作り
猫の手、くまの手、海賊の手
「今、ジャーナリストは捕らえられている。」
「海賊との関係が公になりそうだからですか?」
「それもある。」
含みのある物言いを怪訝に感じ七武海を見上げ、降ってきた紙切れを受け取り。一瞬だけ見てすぐさま伏せた。
「………。」
「こちらで片付けること〈では〉ある。」
「では、ですか。」
「アラバスタで人員を割いた。」
ご協力ありがとうございました、とだけ言ってハインはついに伏せってしまった。
確かに、確かに、アラバスタで革命軍を振り回した。表にこそ出さなかったものの、裏で相当に使い倒したのは事実だ。海兵がいないのだから仕方がないとも言いたいのだが、あれのせいでアラバスタに革命軍を集めてしまった。
しかもアラバスタは現在復興中。
街中に革命軍の施設や監視網の設置。そしてハインの注文をこなす激務を背負わされている。この点においてもハインの指示ならば、発生した不都合を埋めるのもハインの責任になる。
「…まぁ、分かりました。」
「そこもある。もう一つもある。」
「ジャーナリストがお友達…お仲間ですか?」
嘘だろう、と呟いてハインは少々乱暴に地図をしまいはじめた。
海軍本部の役割は情報把握と情報収集。ハインの持つ情報網を蹴飛ばすことはあっても、前線海兵を蹴ることはないはずだった。あくまでも後半海域で起きる舞台を鑑賞し、その後の感想文を提出するだけのはずなのだ。
が、動かねばならない。
兵がいないのに。
「くまさん、ジャーナリストについて一任してもいいですか。アラバスタの件は承知していますけど、兵がいなくてはどうにもできません。だから貴方を呼んだのです。」
「構わない。」
「…分かってます。ジャーナリストは捕まっている。これを外に出しさえすれば、と言いたいのでしょう?」
外に出せないんだがなぁ…とは言わない。出せないものを引きずり出せと言われたならば、それが必要ならば、無理でもやるしか選択肢がない。
しかもジャーナリストがくまの仲間、つまり〈革命軍の仲間〉であるならば。
「なぜ彼らは雑な報道を?」
「情報の行き違いだろう。」
「あぁ…ならば仕方がない…。」
ここも手を回す必要が出てきた。
「それと。」
「最初に全て言ってくださいよ。総長の真似事は勘弁してください。」
「なら全て伝えておこう。」
魚雷が配備される。司法に届いたと聞いた。そして連合国だが、ゴアに金を送る必要が出てきたらしい。天竜人がいるから、連合国としての資金繰りは厳しい。最後にエニエス・ロビーにまともな戦闘員がいない。あそこは戦火内だ。
くまは淡々と流れるように話し終え、用事は終わったとばかりに帰って行く。
「……いや、エニエス・ロビーは私の管轄ではない…。」
氷の溶けてしまったアイスコーヒーを見つめ、ハインはポツリと呟いた。
手持ちなどもうない。
本部にいる情報局員を総動員してもカバーしきれない。そもそも情報局員は動かせない。情報局に少数だけいる前線海兵も、本部の守りで手一杯。彼らは精鋭でもないのだから、一人で守れる範囲に限りがある。
くまに部下はいない。彼が部下だ。革命軍のメンバーであり、七武海であり、政府ともなにやら関係を持つ。個人としての強さは相当だが、所詮は一人。
このような時に応援を要請したい司法ですら、後半海域に行ってしまった。残されたのは地位しか使えない長官一人。ましてや彼は現在エニエス・ロビーではなくウォーターセブンにいる。
ルッチを呼び戻すか?
ふとその考えが浮かんだが、すぐに無理だと判断された。後半海域の通信障害が邪魔をするのだ。ドレスローザは既に被害を受けているし、更に海洋観測局から報告された〈移動する不審影〉が片付いていない。ルッチ達も通信妨害の範囲に入りつつあるようで、どうにも安定しなかった。
タイプは何やっているんだと思いつつ、その声すら届かないのだから飲み込むしかなく。
手が足りない。
最悪司法を守りに行かなければならない。
ウォーターセブンは大工達がいるので、ある程度は持ち堪えるだろうが…エニエス・ロビーは難しそうだ。
するとシスターが唐突にねぇねぇと口を開く。
「主は遠いけれど、教会には手が届くわよ。主が望むならきっと手を貸してくれる。どうかしら?」
「…そのシスターは一般人でしょう。」
「だからこそ慈悲深い。」
コビーが小さく息を吸う。
彼の思っていることなど、顔を見ずとも分かる。
カルト
「まぁ…生死感はシスターも軍人も似通っていますが、日頃教会にいる彼女らが急に動き始めるのは不自然です。」
「貴女には妹と弟がいるじゃないの。戦火に炙られて疎開するのは不自然に見えないと思うわ。大丈夫よ。」
平然と言ってのけるシスターは、窓から見える小さ教会を優しく見守る。しかしハインはどうしても教会を見ることができず、シスターの表情すら確認できなかった。
まだサンカムの方がまともだぞ、と言いかけて飲み込んで、ただ俯くしかなく。
「…望むなら、使命なら、必要なら、やるしかないのであれば…頼めますか。」
「勿論!光栄極まりない頼み事よ!やっぱり主はここに御座すわね。」
シスターの信ずる主は遠い。
だからと言って、伝書鳩役にされるのは勘弁してほしい。
最悪だ、と小さく小さく、声にすらならないほど小さく、それでも吐き捨てるように一言だけ呟き。
「なぜ諜報防諜局がここまでやらないといけないのですかね。」
誰に言うでもない愚痴を吐きながら、またも覚悟を一つ背負い込む。神などいないと言いつつも願い祈る、シスターの行動は何となく理解できる。
神は死んだ。
その死んだ神の名が、免罪符として欲しいのだ。
カット
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んわー、チャットって通知とか来ないのね。気付かんかもしれないねぇ。
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画面の上の方にぴよぴよ出てる〜。今気付いた。これならいける。
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くまさん、革命軍で七武海で政府も行けるから都合がよろしい。いいねっ。
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あ、どこだ。ずっと前の方?
64:15
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使命でした〜。
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下書きぽつぽつ
初公開日: 2020年08月06日
最終更新日: 2020年08月06日
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