お題:朝焼け 瞳
 とにかくハイになっていた。なんでもない日のティーパーティーを明日に控えた今日、ハリネズミとフラミンゴが一度に脱走して、すべて捕まえた頃には夜遅くなっていた。そのせいで夕飯を食いっぱぐれ、寮のキッチンでどうにかしようと思って向かえばなんだか騒がしい。聞けばやんちゃ盛りの一年生たちがキッチンで夜食争奪戦を繰り広げ、はずみでトレイくんお手製のケーキをぐちゃぐちゃにしてしまったらしい。お怒りのリドルくんをなだめつつ、ついでに食器類もいくつかダメになっていた食器を探す指令を一年生たちへ出してみれば、それらしい食器を持っていそうだからという理由で向かったモストロ・ラウンジで、機嫌の悪いフロイドくんとひと悶着起こしてしまったとSOSが入ってトレイくんと二人で急行。なんとかその場をしのいでやっとご飯にありつけるかと思えば、トレイくんが無駄にされてしまったケーキをそれから作り始めたものだから、邪魔するわけにもいかなくて、仕方なくキッチンで魔法薬学のややこしい効能を頭に入れていく。明日の一限に筆記の小テストがあって、満点を取らなければ居残り必至、パーティーの当日準備を考えたらそんな余裕は無い。普段は実技ばかりのくせに、こんなときばかり狙っているのかと疑いたくなる。本当は放課後勉強するつもりだったのだ、動物たちが脱走しなければ。かと思えば突然、妖精の気まぐれだかなんだかで停電が起こって、焼成中のケーキがおじゃんになって作り直し。お陰で砂糖の在庫が足りなくなって、トレイくんに頼まれ今度は大食堂と各寮を駆けずり回ってなんとか必要な分を手に入れた。オレは腹ぺこのままテストの対策をしてトレイくんもなんとかケーキを仕上げて、気付けば時計はもう夜中だか朝だかよくわからないあたりを指していた。これぞナチュラルハイだ、オレもトレイくんもやたらと元気だった。
「ていうか夜中に駆けずり回ったけーくん偉くない?」
「ああ、お前は偉いよケイト。お陰でケーキが間に合った」
「トレイくんも天才だよね! こんな真夜中にケーキ二回も作ってさ」
「はは、今日ばかりは俺も頑張ったと思う」
「頑張ったオレたちの記念写真、はいポーズ」
 カメラを向けてみれば、トレイくんは変にひきつった笑顔でピースを作った。写真を避けないのも珍しいし、不格好な表情は明らかに疲労のせいだ。
「うーんキッチンじゃ映えないなあ」
「屋上でも行くか?」
「お、いいね! 行こう行こう!」
 今思えば、そもそも徹夜して疲れ切った表情の写真なんて撮ったところでマジカメに上げられるわけもないし、映える写真を撮るために屋上へ行くという発想もよく分からない。だけど二人とも、とにかく達成感と疲れで頭がおかしくなっていた。あのオレたちなら帽子屋と三月ウサギにだって負けなかった。
 足取りも軽く鼻歌まじりに階段を上って、
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200802♦♣ワンライ
初公開日: 2020年08月02日
最終更新日: 2020年08月02日
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お題:「朝焼け」「瞳」