式を終えて、色とりどりの華やかな衣装に身を包んだ少女たちが列をなして廊下を歩いている。列といっても整然としたものではなく、追い付いたり飛び付いたり、歩幅を合わせたり、解放感から浮かれがちになった彼女たちは、嬉しさを堪えきれないように、廊下を跳ねるように歩いていく。その中に混じって、しかし何か違ったリズムの歩幅で、彼女は歩いていた。
彼女も他の子たちと同様、やりおえた達成感からか、すっきりとした安堵その表情にたたえていた。けれど、私はその顔を見てどことなく不安な気持ちになっていた。だから、会場に行く前に忘れ物をしてきたと戻って行った彼女を、私は追いかけたのだった。
自分も忘れ物をしたから、というと、彼女は気持ちがはみ出すかのような(そういう表情を自分に見せてくれればいいという欲目なのかもしれない)、笑顔を見せてくれた。そうして長い間私たちが閉じこもっていた、今となっては広い教室に入って行ったのだった。
彼女の席は廊下側の前から二番目。と注意を向けようとしたところ、彼女は自分の席だった場所には目もくれず、窓際にすっと近づいて行った。誰もいない教室はなぜか窓が開いていて、そこから吹く風が、日に透けて白く鈍い影を投げるカーテンを、ゆるく翻していた。
私たちはよくこのカーテンに絡まって遊びながら歌を歌ったり、窓からこっそりと外を伺ったりして、透明人間ごっこをしたのだった。体ごとすっぽりと柔らかく優しい布に覆われているというのは、それだけで安心する状態だった。
彼女はどんどんカーテンに近づいていき、はためいている端と端と軽く両手で掴んで、こちらを振り向いた。今日の彼女は晴れ姿だった。彼女の快活な雰囲気に似合う、浅黄色の上等な上着の、繊細な生地の織糸一本一本が、光を受けて神聖なもののようにきらきらと輝いた。彼女の姿も、彼女が存在していることで押しのけられたその空間も、神聖な光を纏っているように見えた。逆光を浴びて、彼女は美しかった。
あっという時間もなく、彼女は身を翻した。笑顔をたたえたまま、窓にその身体を投げ出して、私が動き出した時には、彼女の姿はそこからなくなっていた。
風が強く吹いて、カーテンがこちらに強く流れる。私を指差すようにその白い光を痛いほど、網膜へと突き刺してくる。ああ、今日は日差しが強いのだった。彼女は暑いのがきらいで、暑いと頭痛がするといってつらがっていた。いま、解放されて、あんなに嬉しそうな顔をするほど、つらかったのだろうか。彼女が美しいばっかりで、光を放つ彼女の、光に苦しんでいることに、私は彼女の幻を見るまで、気づかないままだった。
ヒカリ
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