砂浜に人工的な物体が生命のように波打っている。
私の心は静かに、しかし確かに弾んだ。なんてかわいらしいのだろうと思った。
虫の這う姿をみて、生きている人間の私はいつも、気持ちが悪いと感じる。だけど、そこにはいつも、薄らとした違和感が伴っていた。なにか私が生きている人間であるために、この虫を気持ち悪いと感じるのではないか、とずっと思っていた。
やっぱりそうなのだ。
生きて動いているものというのは、根本的にかわいらしいものだ。存在自体が愛らしいものなのだ。
私が、生きているものを、生きているだけではかわいらしいと思えないのは、畢竟、自分も生きているからに違いない。
私は私でいる限り、ずっと生きているのだから、生きているものは、それだけでかわいいと思える存在には、絶対になり得ないのだろう。
だけど、生きているものはそれだけでかわいらしい。生きている私たちには、決して了承し得ない真実。
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