くりんばを書きたい座布団ですよろしくお願いいたします。
『お祭り行けなくて不機嫌な猫大倶利伽羅と機嫌直してほしい山姥切国広がアイス食べる話』
梅雨入り前のカラッとした暑さだった。遠くで救急車のサイレンの音がする。熱中症で倒れた人も多いと朝ニュースで流れていた。
まだクーラーを入れるか悩む温度で、うちの猫、伽羅も巨体を大きく伸ばして床に落ちている。猫というのは部屋の一番涼しい所を知っていると聞いたことがあるが本当だろうか。でも確かに玄関とリビングの風が流れる場所で寝転んでいる。
「伽羅」
「なんだ」
「アイス食べないか」
「……ああ」
人型になった猫は全裸のまま、俺が差し出したアイスを手に取った。機嫌は多少直ったらしい。
猫にも機嫌の良し悪しがあるんだなとわかったのは昨日だ。近所の大きな祭りに行こうと去年の写真を見せると、猫は尻尾を振って肯定した。しかし、病が世界的に流行し、人が集まる祭りは中止となってしまったのだ。
なんのせいだとか、誰が悪いだとか、説明したが猫には関係なかった。楽しそうに眺めていた浴衣のカタログにも見向きもしなくなり、猫の姿でむっすりと黙り込んでしまった。
来年には行けるだろうとか、花火は家でもできるぞとか、ご機嫌取りをしてみたものの、アイスには勝てなかったらしい。
白いミルクアイスを舐める猫。一番初めのアイスを齧った猫は頭に響いたらしく、目を強く瞑り毛を逆立てた。それから溶けて垂れるのもお構いなしに舐めるようになった。
「伽羅と浴衣選ぶの楽しかったな、結局どれにするか決まったのか?」
「……」
「公園で浴衣着て、花火するか?」
「……」
「伽羅、機嫌直してくれないか」
「うるさい」
「そうか」
窓から風が入ってきて、猫の髪を撫でた。
舐めているわりには食べるのが早い猫が近づいてきて、俺の持っているアイスを舐めた。
「もう自分のは食べただろ」
「足りない」
「腹壊すぞ」
「じゃあ国広を食べる」
さっさとアイス食べろと目線で言われて最後の一口を食べると、冷たさが頭に響いた。