報酬を重くできる場所があるという話
幸いに、というべきか、嫌な予感の割には何も起こらなかった。その後しばらくの間、『スポット』を爆速で攻略していくその前には誰も何も現れなかったのだ。……さっきまでのラッシュは何だったんだろう、と、逆に気になってきたが。
しかし、そろそろ本当に「おたから箱」が重い。これ、ポーチから出したら動かせなくなるんじゃなかろうか?
「スピカ」
「あらシューさん、どうしたの?」
「いや、そろそろ残り弾数がな……」
「えっ、もうそんなに?」
正直に「おたから箱」を持っていることを口に出すのはどうか、と思い、もう一つの懸案事項を、ちょうどローテーションで下がって来たスピカに告げる。嘘ではない。実際の所はまだ戦えるが、最初からすればだいぶ減ってきているのは確かだ。
実際働いてはいる。他ギルドと衝突した時もそうだが、今もちまちまと遠距離攻撃持ちや、ゴブリンみたいなエネミーの中に時々混ざっている回復持ちなんかを狙撃しているのだ。
「でもそっか、シューさん結構働いてるものね。ちょっと待ってて、マスターに声かけてくるわ」
「よろしく頼む」
その辺をスピカはちゃんと見てくれていたらしい。そのまま、集団の先頭を走るマスターの方へと移動していった。
……しかし、実際の所いくつ『スポット』を攻略したことになるのだろうか? 何となくしか数えていないが、そろそろ100に届くんじゃないか?
いや、全国に発生していて、これから発生している『スポット』を全部集めているんだ。『アベンチャーエール』のギルドの掲示板に張り出されていた通行証だけでも相当な量だったから、全体からすればまだまだ少ないんだろうが。
「全員に通達!! 次の節目で一時撤退するぞぉ!!」
「「「応!!!」」」
とか思っていると、そんな声が前から響いてきた。どうやらスピカからの撤退進言は無事伝わったようだ。……節目ってなんだろう。とは、ちょっと思うが。
「えっとね、連続攻略した『スポット』の数が100になるごとに、ボーナスステージが出てくるのよ。それを節目って言うの。だから、そこまでは行こうって話ね」
「ボーナスステージ?」
まだ休憩のローテーションなので戻って来たスピカが、そう解説してくれた。ボーナスステージとな。聞く限り美味しそうな印象だが。報酬的な意味で。
「そう、ボーナスステージ。時間制限がついてて、かかしみたいなエネミーが無限湧きするのよ。落とす素材がまた美味しくてね? 何よりそのかかし相手だと、一緒に挑んだ冒険者が持ってるドロップスキルが、全員分掛かるのよ」
「魔石以外も?」
「魔石以外も」
なるほどそれはボーナスステージだ。通常ドロップスキル、『アイテムドロップ:』というのは、倒した本人の物しか掛からない。だから、誰がとどめを刺すかというのは地味に重要だ。
が。そのボーナスステージでは、誰が倒しても、魔石と同じく挑んだ全員が持っているスキルが掛かるとの事だ。つまり1体当たりのドロップ数が跳ね上がる。うん、それは確かにボーナスステージだ。
……ちなみに、ステージの何処にかかしが湧くかは完全にランダム。近くに湧く奴と遠くに沸く奴の討伐スピードが違うので、毎度地味に悔しい思いをしていたとの事だ。
「だからシューさん」
「うん?」
「撤退するんだから、全部撃ち尽くすつもりでよろしく!」
「分かった」
まぁそういう事なので、スピカからも範囲攻撃を連打するようにと念押しがあった。そりゃまぁそうか。無限湧きと言う事は、遠くの奴を倒して近くに沸き直させるというのが普通に出来るんだから。
敵味方識別できてよかった……。と思いつつ、また特殊系になるだろうエネミーを狙い撃つのだった。