ドン!!
「わあ!何!?」
隣の人うるっさいんだよな〜〜〜でも私もギター弾くし別にお合い子だよな 許せや 互いに
ポスト
「不快です 静かにしてください」
「え〜〜〜っ…殺さなきゃ…」
「あのごめんこっちも言いたかないけどそっちの部屋の壁ドンしょっちゅうあるの気になります…お互いに気をつけましょう」
「そちらこそ毎日上手くもない歌を…」
「はあ〜〜!?」
ム…ムカつく〜ッ!そりゃ上手いこと自覚して歌ってるわけではないけどこうして面と向かって下手くそって言うやつは絶対に性格が悪いって相場が決まってんだからね〜!? 何だコイツ…
「」
「ああ〜!!!!!」
──来るな。バデーニは身構えた。呆れと、不本意ではあるが少しの期待で閉じた視界に、ヤケになっているような女の歌声が響き渡った。
「少し背の高い〜〜〜〜〜!!!!!」
先程の絶叫とは発声の仕方が大きく違っている。よく通る声だった。
「ご清聴、ありがとうございました」
「耳障りだ」
「そうですよね…すみません…」
「…次は事前に伝えろ。毎回突然叫ばれて興味のない歌を聞かせられてはたまったものではない」
「はい…すみません」
「だあ〜〜〜〜〜!!!!!」
「すーこーしーせーのーたーかーいー!!!!!」
「…バデーニさんのおかげでこのライブも2回目を迎えることができました」
「君は耳がないのか?つい先日一言言うように言ったはずだ」
「そうなんですよね」
「もう駄目かもしれない」
「おい」
「楽器を降ろせ。まず私に許可を」
「少し癖のある〜〜〜!!!!!」
「……」
「…ありがとうございました」
「……」
「いつもバデーニさんのことを考えながら歌っています」
「……」
「ね…少し背の高い…少し癖のある声…うん…全部バデーニさんみたいで…うん」
「……」
「…ね…」
「体調が悪いのか」
「え?」
「いつもと声が違う」
「……」
「課題提出の時期が被っていると話していたな。君のことだ。レポートとアルバイトに追われ生活が不規則になっているんだろう。今日はもう歌もレポートも中断して休め」
「……」
「聞いているのか? 何か言ったらどうだ」
「…いや…その…」
「…意外とちゃんと聞いてんですね…」
「…何度も聞かされて覚えただけのことだ。特に意識して聞いているわけではない」
「あ…そっか。そうだよね。ごめん」
「アドバイスありがとう。バデーニの言う通り今日はもう寝るよ。ちなみにこの曲はaikoのカブトムシって曲なんだ。もしよかったらよろしく」
じゃあおやすみと通話は終わった。よかったらよろしくってなんだ。掴みどころのない要求だな…。バデーニのノートにはアイコとカブトムシの単語が書き留められていた。う