「久森、好き」
 自分をまっすぐ見つめながら思いを告げる矢後の姿に久森は目眩を催す。たしかに自分は矢後のことが好きではあるが、矢後からそんな感情を向けられていた覚えはない。悪い冗談はやめてくれ、自分のことをからかっているのか、と久森は目の前の先輩を訝しんだ。
「あの、矢後さん、熱でもあるんですか?」
「は? なんで?」
「だって……」
 ――そんな僕に都合のいいこと起きることがない。
 少しネガティブすぎることを考えてから、はたと思う。彼の好きは自分の好きとは違うんじゃないか。そもそもこの人に愛するという感情などあるのだろうか、と自分が彼を諦める原因の一つになったことを思い返した。
「もしかして、
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初公開日: 2020年05月09日
最終更新日: 2020年05月09日
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