※こんばんは
ハートありがとうございます!
昨日前編を書き終えたので今日は後編を書きます。
このプロットがはたして5000字程度まで延びるのだろうか。
 太陽が登頂を覗かせ空が白む頃、頭上で鳴り響く聞きなれたアラームの音に睫毛を揺らし身動ぎしながら#name2#は目を醒ました。スマホに手を掛けてアラームを切り、上体を起こして掛布を捲り挙げれば彼女の膝の脇辺りに長い身体を器用に丸く纏め小さく寝息をたてる蛇基セベクの姿がある。蛇の身とはいえ中身はセベクであるこの蛇は、昨夜彼女が布団の中に招き入れても頑として首を縦に振らず掛布の上に陣取っていたのだが、酷く冷え込みは堪えたのか深夜になり彼女が眠りに落ちた頃、恥を忍んで漸く彼女の体温が滲む隙間へと潜り込んだのだった。
 #name2#は眠れる小動物が目を醒まさぬようこっそりとベッドから抜け出して身支度を始めた。大食堂の勤務は三日出勤三日休暇のシフトである為明日は休みだ。今日は休暇前最後の三日目の出勤日である。洗顔を終え、薄く化粧を施して着替えを済ませた後、朝食は摂らずにオレンジジュースを冷蔵庫から取り出してグラスに注ぎ、部屋を出る時間になるまで端末を開いてニュースを眺め見ながら過ごした。低血圧の#name2#は毎朝このルーティンで活動している。正直、彼女は陽が昇りきらない早朝に起きること自体難儀に感じているのだが三年も続けていれば自然と其の時間に目が醒めるようになっていた為、頭が覚醒しないながらも習慣として朝の支度は身に付いていた。
 だらだらと熱砂の国の芸能人の熱愛報道や輝石の国の大臣の脱税などのニュースを目で追っていると、時間は無尽蔵に過ぎていく。時間を確認した彼女は重い瞼を閉じて一度大きくため息をついてから席を立つとグラスをシンクに置いて荷物を持って、未だベッドから出てこないセベクを起こさないよう静かに自室を後にした。
 一限を終えた生徒達で賑わう朝食の時間、挙ってカウンターに並ぶ生徒の注文を捌いていた#name2#の前に酷く巨大な影が差す。メニューを眺める影の持ち主は俯いているものの、彼女との身長差が約40cmもある其の人物の顔を目にしようとすれば自ずと首を大きく後ろに逸らして見上げる形を取らざる終えない。朝食を決めあぐねている人物を仰げば、彼はメニュー表に向けていたセベクに良く似た燐光を孕む光彩をname2#へ移していた。
「貴方は確か…マレウス君。」
「ああ、おはよう。」
「はい、おはようございます。」
「セベクはどうだ?」
「朝見た時まだ蛇だったよ。」
「そうか…此方が言い出した事とはいえ、すまないな。」
「いいえ。先輩魔女として生徒の役に立てるならこのくらい何でもないよ。気にしないで。…注文は決まったかしら?」
「…ああ、此れを。」
 モーニングプレート(オムレツとベーコンセット)を指差した彼に頷き伝票に書き込んでピンチに挟むと、彼はこれ以上話題を持たない為に大人しく料理受け取り口へと捌けていった。先程の「魔女の先輩」という発言は学生である彼が自身より年下であると高を括っての物であったがマレウスは其の言葉を訂正する事は無かった。実際には彼の方が遥かに長い時を生きているという事実を#name2#が知るのは少し先の事である。
 
「マレウスはお前に興味が有るようじゃな。」
「おはようリリア君。」
 マレウスの長身に隠れていたリリアが、彼が移動した事により姿を現しカウンターに肘をついてメニュー表に視線を落としながら口を開く。彼の存在に気が付かず突然現れた彼に驚きつつもペンを構えて微笑む彼女に顔を上げ、マレウスと同じモーニングプレートを指差したまま先程の言葉に付け加えるようにまた言葉を放った。
「あれはセベクとはまた違う種類の難儀な性格での。わしから見れば存外素直で可愛らしい奴なんじゃが、ドラコニアの名と纏う雰囲気のせいか奴と関わりを持とうとする者は多くない。セベクの件が有るとはいえ、あやつが自ら誰かに話しかける事は少ないのじゃ。お前さえ良ければマレウスとも仲良くしてやって欲しいのじゃが。」
「そうなの?身長が高くて綺麗な子だなとしか思ってなかったからそういう印象は無かったけど…マレウス君が良いならまた今度話しかけてみるよ。リリア君はマレウス君の事を大切に思ってるのね。」
「長い付き合いじゃからな。あ、トマトジュースも。」
 セベクが語るマレウス・ドラコニアは「完璧」を体現したような並外れて優秀な魔法士で、確かに近寄り難い印象を与えていた。其れだけにリリアが言うマレウスの人物像はそんな彼の印象に人間味与え、途端に親近感を抱かせた。追加注文も漏らさず復唱してやれば、リリアは幼い顏に満足そうな笑みを浮かべ肩に掛けた上着を翻して受け取り口で待つマレウスの元へと向かって行った。
 彼らの後ろで順番を待っていた生徒の注文を取りながら其方へ視線を預けると、リリアに何やら話しかけられたマレウスが薄く笑っている姿が目に入った。セベクが心酔するに足る理由が彼には有るのだろうが、彼女の目には彼は他の生徒と何一つ変わらない
「只の子供」見えていたのだ。
 新たな交遊が出来た#name2#はその日も忙しない一日を過ごした。業務を熟しながらも脳内を占めるのは、独り彼女の部屋に残してきたセベクの存在である。部屋を出る時は眠っていたが、今頃はする事も無く暇を持て余している事だろう。室内に居る分には特に危険は無いだろうが、空腹に喘いでいるかもしれないし排泄に難儀しているかもしれない、と彼女の不安は尽きる事が無い。普段は遅くまで職場に残って居る#name2#であったが、今日ばかりは朝食の仕込みと片付けを済ませた後戸締まりは同僚に任せ、樹脂の容器に詰めた食事を持って足早に鏡の間へと向かっていた。
 息を弾ませ冷たい真鍮のノブを回して重厚な木製の扉を開けば、薄暗い室内には銀糸の髪に鏡の光を反射して佇むシルバーの姿があり、思わず立ち止まる。彼は、入室してきたのが#name2#であると気付くと一礼して彼女に歩み寄る。
「お疲れさまです。」
「結構遅い時間だけど、どうしたの?」
「特に用は無いんですが、セベクの様子を聞きたくて。」
「ふふ。そんなに心配なら寮に置いておいた方が良かったんじゃない?」
「?」
 表情を変えずにセベクを案ずる言葉を口にしたシルバーに、#name2#は堪えきれなかった笑みを吐きそう告げた。セベクと行動を共にする同郷達は、仕事中の彼女と同じ彼の事を心配しているのだ。そもそも面白いからという理由でセベクを彼女に預けたのはリリアであり、#name2#の目にはシルバーが其れを承知している様には思えなかった。
「親父殿はああ言っていたが、あれはセベクの為に提案した事です。」
「というと?」
「確かに親父殿は面白がっていましたが、其の根底には貴女とセベクの関係を後押ししてやりたいという心遣いがありまして。恋人同士でありながら、貴女達が顔を合わせるのは大食堂だけです。今回の事故は天がくれたチャンスかもしれないと親父殿は言っていました。」
「え…。」
 リリアにセベクとの関係を察知されていたどころか気を回されていたとは知らず、唖然とした#name2#は喉の奥から漏れた呻きにも似た声を除いては何一つ言葉を返すことが出来ないでいる。そして彼が心境を察し挨拶を残して寮へ帰るまで、彼女はその場を僅かたりとも動く事が出来なかった。
 漸く事実を受け止め、セベクの為に早々に帰宅しようとしていた事を思い出して寮へ戻り自室の扉を開けば、室内に踏み入れようとした足元にセベクが居て思わず踏みつけてしまいそうになり、身体をふらつかせながらも慌てて足の置き場を変える。
「吃驚した…。ごめん、大丈夫だった?」
『だいじょぶ。ごめん。』
「良く見てなかった私が悪いの。ただいまセベク君。」
 体勢を建て直して足元を見遣れば、彼は尾をゆるりと振って其れに答える。屈み込み差し伸べられた手に頭を寄せ細腕に巻き付いたセベクをつれてダイニングのテーブルにのせ、彼女は持ってきた食事を開いて彼に見せた。
「一応ご飯持って来たけど食べる?」
『ありがと。たべる。』
「今日はタンドリーチキンだよ。いい香りでしょ。」
 料理を広げて彼の反応を見ると嬉しそうにしていた為、彼女はキッチンからフォークを持ってきて着席し早速彼に食事を与え始める。昨夜と同じく彼女の手から食事を摂るセベクは、既に躊躇することを止めていたので其の姿は食べているものを引いては完全に手懐けられたペット其の物であった。
 多めに持ち帰った食事はすっかり小さな胃に収められ、満足した様子を見せるセベクを置いて入浴と寝支度を済ませた#name2#は昨夜同様彼を自身のベッドへ招き入れていた上掛けを捲りあげて自身を誘う恋人を、枕の上に腹をつけて見ていたセベクは昨日と同じ様に複雑な感情を以て眺めていた。シャワーを浴びて上気した頬と眠気に微睡むゆったりとした口調、そしてベッドについた彼女の香りがセベクの心を揺らす。昨夜、寒さに負けて潜り込んだ後も数時間は其の誘惑に惑わされていたのだ。
「どうしたの?眠くない?」
『ねむい。』
「じゃあほら、入って寝ようよ。昨日は寒かったんでしょ?」
 子供に言って聞かせるように優しく紡がれる彼女の言葉は彼の抵抗心を折るには充分であり、セベクは自身でも気付かない内に掛布とシーツの隙間に出来た空間に身体を滑り込ませていた。
 長い身体を伸ばして枕の上に頭を置き丁度人の様に横たわるセベクに向かって、掛布を持ち上げる手を下ろし其の脇に身体を倒した後で照明を落とした#name2#は、声を潜めてセベクへ話しかける。
※今日はもう寝ます。おやすみなさい。
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49:30
明智
マレウス202cmもあるのびびった。セベク君の方がちょっと大きいのかなかわいいなと思ってたのに普通にマレウスの方がデカい。王の貫禄がある。主人公はリリアと同じくらいか少し高い位をイメージしているのでマレウスとセベクが両脇に立つと捕らわれた宇宙人の図になるじゃねーか。
56:56
明智
あれ?マレウスって何百年も生きてるみたいな設定なかったっけ?ストーリーで見た気がしたんだけど気のせい?
58:45
明智
あ、マレウスの身長って角込みか。
137:51
明智
明智ちゃん集中しろよ
145:32
明智
また落ちてました。すみません。
158:39
明智
三時間もやって2000字しか書いてないのやばい。
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向き
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twst夢かくよ7
初公開日: 2020年05月03日
最終更新日: 2020年05月04日
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煙草吸いながら、セベク君が蛇になったやつの続きを書きます。