くりんばワンライ第23回
【靴下】【それ見せて】
『洗濯当番の山姥切国広と大倶利伽羅が恥ずかしい話をする話』
天気は晴れ。気持ちのいい風も吹いて、洗濯日和だ。今日の選択当番は俺と大倶利伽羅。ランドリー室の共用タオルをめいっぱいまで洗濯機に入れて稼働させしばらく待つことになった。色物の洗濯物を仕分けしつつ話題を探す。
「大倶利伽羅は顕現したての恥ずかしい話しとかあるか」
「あっても話すわけないだろう」
「だろうな、俺にはあるんだ聞いてくれないか」
俺は初期刀。主に選ばれて顕現された一振り目の刀剣男士だ。主はいろんなことを知っていて、沢山のことを俺に教えてくれたが、訂正しないこともあった。その一つがこの間宴会で大爆笑の元になった、緑茶を勢いよく振って泡立てるとビールになるという間違いだ。完全にしてやられた。主も笑っていた。そういう奴なんだ。
最近知った事なんだが、足袋によく似た現代の履物があるだろう。なんて名称かわかるか。
「靴下か」
「そうだ、靴下だ」
俺は主に自分の装束の名称を覚えるときに”くくした”と発音していたらしい。主はあまりの愛らしさに訂正しなかったそうだ。初期刀の俺は、次に顕現した前田にも同じように教えた。前田は前知識があったのか、靴下のことを知っていた。しかしどこか主に似たのか、訂正しなかったんだ。
「さすが主の腹心。やることが違うな」
「頼もしいんだが、頼もしいんだが、そんなところまで似なくていいと思わないか」
「あんたも主そっくりじゃないか」
「……ちなみにどのあたりが」
「思い込んだらまっすぐなところ」
「あんたから見たらそうなのか」
「俺のこと好きじゃないのか」
「そうだが」
「思い込んだらまっすぐ来ただろ」
そうだ。大倶利伽羅と伊達がいつも一緒にいるので、話しかける隙が少なかったのを覚えている。
俺は告白する機会をうかがうのに疲れて、食堂で朝飯を食べる大倶利伽羅を捕まえて本丸中が見ている前で告白したのだ。
「あれは大倶利伽羅が光忠と仲良しだったから、光忠が好きなのかと思って焦っていた」
「光忠がお節介なだけだ」
「まあ、今は光忠とはズッ友なんだが」
「どうせ光忠から碌な事聞いてないんだろう」
「あんた水と酒間違えて飲んで伊達の連中の前で俺の事が好きだと白状したんだろう」
「……」
「酔っぱらったまま手紙を書いたと聞いて、今ここにある」
「なんだと、記憶にない」
俺はジャージのポケットから折りたたんだ便箋を取り出した。
「これだ」
「見るな見るな捨てろ」
「俺は今、大倶利伽羅が滅多に言わない告白を見てしまおうと思う」
「即火中」
「それフラグじゃないか」
ぴーっぴーっ。洗濯機が洗い終わる音がして、タオルを持った大倶利伽羅が立ちあがった。
「俺は行く、あんたは好きにしろ」
完全に大倶利伽羅の機嫌を損ねた俺は、どうやってご機嫌を取ろうかと思いつつ、便箋を開くのだった。
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くりんばわんらい書くマン
初公開日: 2020年05月03日
最終更新日: 2020年05月03日
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