こんばんは。お試し配信です。
なんとなく書きたくなったものをゆるっと書こうかと。何書いているかわかった方は生暖かく見守ってください。見られていることに緊張して進まなそうならさっさとやめてしまうかも。まあとりあえずやってみます…。完成版は後でツイッターにあげると思います。
オリジナル/ゆるっとSSもどき
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 その歌には花の盛りだけではなく、満つる月も浮かぶのだと、いつかの折にふっと気がついた。
 日記を書きはするが、読み返すことはほとんどない。かつては過ぎ去った日々に思いを馳せることすら、歩みを止めようとする己を突きつけられるようで避けていた。ただその日という瞬間が存在したことを、その日に自分は確かに何かを思考し生きていたのだと実感するためだけに、記憶の断片とも呼べぬほどのちっぽけな感触を書き残す。いっときの気慰めに吐き出して、それで終わり。後は焼くなり捨てるなり、どうだっていいはずだった。
 夜風に吹かれて欠片を散らす花々を見ていた。薄紅の花の合間に丸い月が浮かんでいて、その見事さにほうと溜息を吐いた瞬間、ああ、同じように月を見上げた夜があったと思い出した。記憶の景色も花の頃、そうたしか幾日か降り続いた雨が止んだ夜だった。霞の向こうにやや紅がかった満月が見えて、まるで花の色が移ったようだった。この長雨の先にようやく春日が訪れると感じて、それをそのまま日記に書き残した。
【――彼の見る世界はいつだってもっと鮮やかであろうに】
 あの頃の自分が見つめていたのは、何だったのか。記されたそれは本当に己の情動であったのだろうか。
 もう二度と自ら筆を握れぬ手の代わりに、愛した花が山を染め抜くのを見られない目の代わりになれると本気で思ったのか。その深い知見、世界を捉える眼差しの一片でも己の内に取り込むことができたなら、永遠の離別から逃れられると夢想したのか。
 まともな体裁を成していない最後の数日の記録を、その先数週間続く空白の頁をいまだに手放せないでいるのは、ひとえに忘れたくないからだ。
 最初で最後に触れた瞼の薄い熱を、夕霞を纏った睫毛の儚さを、暮れていくにつれ遠ざかる体温を、いつまで、どこまで連れていけるだろう。いつ終わるかもわからない地面を、記憶ひとつ携えて、どこまで踏み外さないで歩いていけるだろう。
 ずっと先でと、先生は言った。彼が言うならそうなのだろうと、ただそれだけの理由で受け止めた。そうして十年、二十年が気がつけば過ぎ去って、それでもあの言葉は変わらず自分の少し前、ちょうど足を踏み出すあたりを照らし続けている。
 花の盛りを目前にして彼は逝った。彼が早すぎたのではない。あの年の桜だけが、いつにも増して遅かったのだ。
 今年は散り際になったな、と呼びかける。花曇りの空からまるで雪のように、静かに降っては積もる欠片をひとつ拾い上げて、古い机の隅に置いた。
【第一稿ここまで。完成版は校正後Twitterに上げます。ありがとうございました。】
 
 
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ちょっとやってみます
初公開日: 2020年04月19日
最終更新日: 2020年04月19日
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コメント
お試し配信。なんとなく書きたくなったものをなんとなく書いています。
あんまりうまくいかなかったらすぐやめちゃうかも。
20210914
なんとなく配信。唐突に始まり唐突に終わる。あきによばれたひとのはなし
碧海
20201222
こっそり書く…眠くなったらor筆が進まなくなったら途中でもやめます。
碧海
よりみち妄想戦国柱現代パロ
題名の通りです。妄想ばっかりなので閲覧の際はご注意ください。
がーこ