『傷だらけの愛を』の続きを書いていきたいと思います。交流する座布団です。
これがだいたいのプロット
③四年生になったまんばちゃんが大倶利伽羅くんに画廊?で告白する話
 ・大倶利伽羅くんが儚い美しさじゃなくて生命力のある美しさのある絵になってて、「俺はこれが好きだ」みたいな話で告白したつもりになってるまんばちゃんがいいな 大倶利伽羅くんは、「そうか、(あんたの書いた絵に満足しているんだな)好きか(俺もあんたが納得いくものを描けて)いいと思う」みたいな
こっから本編
四年生になるとほとんどの講義はなくなる。就活が始まり皆自分の作品をまとめたポートフォリオを作ったり、合同で個展を開いたりして忙しい。
俺も御手杵と一緒に街の大きな商店街が並ぶ一角にスペースを借りることができた。
お互いにテーマは人物で、テーマは龍。俺も御手杵も想い人がいて、その人のことしか頭にないことをお互いにぶちまけるとイメージが重なったのだ。
俺は昔、大倶利伽羅の腕から後ろ肩口の辺りまでに入っている龍のタトゥーをデザインしたことがある。実際に大倶利伽羅がそれを肌に入れているとは思わなかったので適当なラフしか残っていない。それを元に人物、ほとんど大倶利伽羅を描いていく。
「国広、大きな絵は描かないのか」
「鋭くいきたいんだが、全体の見栄え的に大きな絵が必要だろうか」
「うーん、俺とのバランスっていうよりも、国広の絵をもっとド迫力で見たいんだ」
「……そうか考えておく」
俺は絵を描くときの視野が狭いので、あまり大きな絵は得意ではない。大きな絵を描くと大味になってしまうことを先生にアドバイスされてから、小さく鋭く描いている。大倶利伽羅にも聞いてみよう。そう思って時計を見ると、もう閉校の時間を過ぎていた。
家に帰ってきて、昔のスケッチを見返すと、大倶利伽羅のスケッチがなんだか味気なく見える。大倶利伽羅ってこんなに冷たかっただろうか。
大学で再会して二年半。毎日大倶利伽羅を描いているのでスケッチブックは積めるほどある。その中から半年毎の大倶利伽羅を抜き出してみた。
最近の大倶利伽羅は着色してないにも関わらず、色や温度、ため息まで聞こえてきそうだ。
並べてみるとどうもグラデーションのように見える。画力が上がっているのもそうだが、もっと深く大倶利伽羅を理解してきたような。
「これだ!」
チャリリと鈴の音がして、大倶利伽羅が近づいてきたのがわかる。今日は大倶利伽羅が家に来る予定だっただろうか。全く記憶にないがそうなのだろう。慌ててスケッチブックを片付ける。
四年生になってから大倶利伽羅にスケッチブックを見せることがなんだか恥ずかしくなってきた。大倶利伽羅に見せろと言われたら昔のを渡して見せている。なんだか自分の恥部をみせているようなのだ。それくらい今のスケッチは見せたくない。
棚にスケッチブックを突っ込んで、使いかけのスケッチブックはリュックに突っ込んだ。
大倶利伽羅がインターホンを鳴らして、ノブを回して鍵が開いていることを確認すると勝手に入ってくる。
「国広、飯食ったか」
「く、まだ食ってない」
「弁当を買ってきたから食べるだろう」
大倶利伽羅が買ってきたのは俺の好きなカルビ弁当だった。
一口食べても、正直味がわからない。大倶利伽羅が疲れた顔をしているから、今日はきっとここで寝ていくんだろうが、それはどうしても避けたい。このカルビ弁当を放り出してもいいから、今頭の中にある大倶利伽羅を描きたいのだ。
「どうした国広。何か言いたいことがあるのか」
「大倶利伽羅しばらく俺と会わないでほしい」
「……わかった」
大倶利伽羅はパスタの蓋を閉めてレジ袋に入れると、さっさと立ち上がっていなくなった。
玄関が大きな音を響かせて閉まったがそれよりも、今はスケッチだ。
部屋にある一番大きなキャンパスを取り出して壁に立てかけた。これでも小さい気がして、部屋中のキャンパスを繋げて、壁一面の面積になるころには満足して大倶利伽羅を描き始めた。
「国広いるかぁ?」
人の声がして、はっとした。声の方を見ると首がぎしぎしして、関節が鳴った。玄関が開いていてドアよりも大きな男がこちらを見ている。御手杵だ。
「……あ゛? んんっ……ああ、御手杵」
「端末鳴らしても出ねーから、どうしたのかなって」
靴を脱ぎ御手杵が玄関を上がってくる。安アパートの畳が大男の歩調で軋んだ。
「わ、これ、すごくいいな」
「なにが……」
目の前にはうなじをかきあげ、腕から後ろ肩口まで昇る龍を見せつけ、金色の瞳でこちらを睨む、大倶利伽羅がいる。
「俺が描いたのか」
「国広しかいないと思うぜ。いつから描いてるんだ?」
「ちょっと、わからない」
「えー今ジュースしか持ってないぞ、しかも飲みかけ」
御手杵がポケットからボトルの炭酸ジュースを開けて手渡してくれる。一口飲んで、喉が渇いていたことを思い出して一気飲みしてしまった。
改めて見て分かった、この絵には俺の好きな大倶利伽羅がいる。大倶利伽羅そのものを写し取っただけではなく、俺の見ている大倶利伽羅がこの絵なのだ。
大倶利伽羅にこれを見てほしい。一番いい場所で俺と一緒に。
「御手杵、これを見せたいやつがいるんだ」
「よーし」
大倶利伽羅とは連絡を取らなかった。映像科のことはほとんど知らないが、何かイベントに駆り出されているのだろう。向こうから連絡が来ることもなかった。
大倶利伽羅がいないと騒がしい。制作をしているといろんな人に話しかけられる。御手杵曰く、ガードがないから話しかけやすいらしいのだが、ガードはほとんどかぶっているフードくらいでいつもと変わりない。
個展が開催される初日の朝。大倶利伽羅には一応個展の期間、場所日時を事務的に連絡を入れておいた。既読がついただけで、返信はない。大倶利伽羅も忙しいのかもしれない。
午前中のお客さんの入りはいいのか悪いのか、判断がつきにくい微妙なところだった。
午後からはやってきた同じ美術科の歌仙を案内する。
「ああ、これは……人物が見ていくに従って君視点になっていくんだね」
「歌仙は鋭いな。そうなんだ、昔の絵を時系列に並べて一番最後が最新の絵になるようになっている」
「それにしても君、大倶利伽羅を描くのが好きなんだね」
「昔からなんだ。ほとんど手癖みたいなもので、会っていなかった時も描いていた。でもやっぱり実物を見て描くのが一番いい」
「だろうね、大学に入学してしばらく経った頃の君は生き生きしていたよ」
「そうだろうか」
「君は大倶利伽羅が好きなんだろう、最後の絵を見たらわからない者はいないさ」
「……伝わるだろうか」
「これほどの愛、大倶利伽羅が気がつかないはずがないよ」
歌仙は御手杵の展示を見に行くから頑張るんだよと言って行ってしまった。
知っている人はその日は来なかった。たくさんの名刺を機械的にもらって、その日を終えた。
御手杵と晩御飯を食べる予定だったのだが、戸締りをしている時に展示スペースに来た御手杵並みの大男に晩飯は一人で食べてくれと伝言だぜと言われた。
予定の店の前でしばらく待ってみたものの、御手杵は来なかったのでいつものコンビニでカルビ弁当を買った。
コンビニ袋をぷらぷらさせながら夜道を歩いた。
そういえば二年生の時にこの道で大倶利伽羅が刺されたのを思い出す。あの時は必死に冷静になろうとしていたからできたことだが、もう一度やれと言われたらできないだろう。体が動いてよかったな、と思いながら玄関を開けた。
吊ってある照明をつけて座布団に座ってちゃぶ台でカルビ弁当を食べる。御手杵を置いていってしまったが、大丈夫だったのだろうか。あの大男は大倶利伽羅とはまた別の良い骨格をしていて、一度は描いてみたいと思った。そういえば御手杵の彫刻と似ている気がしないでもない。まあ気のせいか。
カルビ弁当は美味しい。いつか大倶利伽羅に焼いてもらったカルビも美味しかったが比べてはならない。
展示は二日間。明日が最終日だ。大倶利伽羅は見に来てくれるだろうか。
二日目最終日。誰が連れてきたのか午後に団体のお客さんが来て、あーだこーだいろいろ言われた。面白い評論をする人もいれば、難癖つけてくる人もいる。いろんな話を聞けるのが個展の良いところだ。
十五時を過ぎ、人がまばらになると、御手杵が大男を連れてやってきた。
「国広の龍を見たいんだってさ」
「ああ、よろしくな」
大男は号と名乗った。おそらくこの号さんが御手杵の龍なんだろう。よく見ると彫刻そっくりの優しい瞳をしている。
しかし並ぶとデカい。俺もそんなに小さくはないはずなのに、少し見上げないと会話できない。そんなのが二人もいるのだ。日頃御手杵とつるんでいて慣れたと思っていたのは気のせいだったらしい。
「あんたも熱烈だねぇ」
「国広は大倶利伽羅ばっかり描くんだぜ」
「御手杵もだろう、号さんばかりだ」
「なんで知ってんだ国広ぉ」
「号さん見たらわかる」
「だろうな」
「ばれてたのかよ……」
こいつをこれからもよろしくな。号さんにそう言われてとっさに頭を下げることしができなかった。
十七時を過ぎると仕事帰りや学校帰りの人が増えてきた。大倶利伽羅はまだ来ない。お客さんに混じってぼんやり自分の描いた大倶利伽羅を見ている時だった。
「君が山姥切国広? これを描いた作者なんだね」
「? あっそうです」
「この個展のテーマは龍だが、もう一つテーマがあるよね」
「なんとなくあります」
「ズバリ愛だろう。そしてこれは君の想い人だ」
「違うって言ったらどうしますか」
「違わないだろう。こんなにも人物の視線から伝わってくるものがある。俺を好きになれ好きになれ、と」
「恥ずかしいんですけど、当たっています」
「就職先は決まったのかな」
「全く考えていなくて……」
「じゃあ個展が終わったらオフィスに連絡して欲しい」
美しい顔の男だった。名刺の名前は長船長義。デザイナーと書いてある。
「ありがとうございます」
「それとももうたくさん名刺をもらっていて吟味している途中かな?」
「いえ、そんなことはありません。お伺いさせていただきます」
長船さんは何か呟くと、失礼するねと御手杵のブースに歩いて行った。
個展が終わったのは十九時半。片付けはまた明日時間があるので、今日は手伝ってくれた人や場所を貸してくれた大家さん、見に来てくれた近所の人などを巻き込んだ打ち上げがある。
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メモ インタビュー 御手杵「ラブレターみたいなもんだろ??」 んば「はっ!!!!そういうことか!!!!!(布饅頭)」を入れたいな……
83:59
交流する座布団
にほおてが混じっているので注意です
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