なんか書くよ 仕様がよくわかってないよ 今日のイメソンは世田谷ラブストーリーだよ
誤字がひどい つらい ひとまず先が見えないけど一時間やるね
「じゃあ、またね、轟くん」
「……おう、じゃあ、また、現場で」
久しぶりに時間が合った。それも、偶然出かけた先で出会うなんていう、奇跡みたいなこと。事務所も違うし、活動場所も、たいしてかぶっていない。チームアップの要請なんかがあれば一緒にはなるけれど、それもサイドキックとしての活動だから、主となって動くこともあまりない。
高校時代の貴重な三年間は、お互い何事もなく過ごした。良き友人、良きライバルとして。恥ずかしい話、この自分の心の中に芽生えて育っていった感情に、名前を付けられなかった。友人、緑谷出久のことを想う人間は、星の数ほどいるだろう。本人に言わせればそんなことはない、と言葉が返ってくるのだろうが、あいつが気が付いていないだけなのだ。けれど、その星の数ほどいる一部になることが、怖かった。友人という、ライバルという、彼の隣に立つことのできるやさしい言葉だけを信じて生きているほうがきっと、楽だ。それで、待っていたって、彼のほうから何かあるわけじゃない。だけれど、友人というカテゴリに属しているままのほうがきっと、いい。
だから今日だって、偶然会って、こうして終電間際まで居酒屋なんかでグダグダとくだを巻いていられるのだ。これが友人なんかじゃなかったらきっとこんな簡単にいかないはずだ。俺も、緑谷も、終始緊張したりして、楽しい酒の席、っていうわけにはいかなくなってしまう。友人だから。成立するものだってある。
「それにしても、偶然会えてよかったよ」
極限まで冷やされたグラスの中身はコークハイで、それを一口飲みこんで、緑谷が笑った。俺のグラスの中身は、ただのウーロン茶だが。
「よかった、って、なんか用事でもあったのか?」
「いや、用事はないけど、だれかと話がしたい、って思ってたし」
オールマイトと会う予定がつぶれちゃったんだ、と緑谷がつぶやいた後で、「それに一人で暮らすのなんか寂しくってさ」と続けた。
「まあ、確かに、三年間騒がしかったもんな」
「部屋は一人だったけど、やっぱりみんなといるの、僕すごく好きだったから、不思議な感じだよ」
「気持ちはわからなくもねえ」
運ばれてきた揚げ出し豆腐を半分に分け、緑谷の小皿に移す。ありがとう、とそれを受け取りながら、緑谷が続けた。
「まあ、こんなこと言ってる場合じゃないんだけどさ」
「お前、つーか傷増えてねえか」
「うわっ、気のせいだよ失礼な!」
「でもこの前の災害、お前大活躍だったろ、俺も加勢行ったが」
「その時のはもう治ってるよ、たぶん」
「多分ってなんだ」
「自分でもどこ怪我したか覚えてないんだよ」
痛くないし、きっと治ってる。そういってコークハイを一気に半分ほど飲み干す。緑谷は酒に強い。俺はというと、残念ながらあまり得意ではないのだが。
「あ、っていうか僕ばっかり飲んでるし、話してる」
「いいぞ、別に。俺は飲めないし、お前の話を聞いてるのは……苦にならねえ。楽しい」
それならいいんだけど、と、だし巻き卵にマヨネーズをつけて頬張る。
「……卵にマヨネーズって、お前、たまご渋滞してんぞ、それ」
「っあはは!渋滞って!食べればおいしさがわかるよ」
はい、と箸でつかんだだし巻き卵(マヨネーズ付き)を目の前に出された。……そこまでされてしまったら、食べる以外の選択肢がないだろう。そのままそれを口に入れられる。
「ジャンクな味するぞ」
「明日動けば問題ないよ、これチーズとか入ってるオムレツもマヨネーズでいいなあ」
「それは朝ごはんみてえじゃねえか?」
「味が濃ければひとまずお酒のつまみにはなるんじゃない?」
そう、本当に、こんなふうな、くだらない話をするのだ。それが心地よくて、友人という言葉に頼ってしまう。けれど、それと同時にやっぱり彼を好きでいる自分も、無視できなくなる。
「終電、間に合ってよかったね」
「そう、だな」
居酒屋から駅までの短い道のり。夜風が気持ちいいね、と笑う緑谷の横で、どうすればもっと同じ時間を過ごせるのか考えていた。改札をくぐってしまえば、もう別々の方向だ。いっそのこと、終電に間に合わなければ、よかったのだろうか。ここからなら、俺の家のほうが近い。泊まって行けよ、なんていえばよかったのだろうか。一夜の過ちなんて、犯すつもりは毛ほどもないが、それでも、もう少し一緒に居たかった。それを言い出せない俺は、たぶんずっとこのままだ。それでいいといえば、嘘になる。けれど、臆病で弱虫の俺は、それでいいと思ってしまう。
「じゃあ、またね、轟くん」
「……おう、じゃあ、また、現場で」
「気を付けてね」
「お前こそ」
手を振りながら、改札を通っていく緑谷の背中を見つめる。その背中を追いかけてしまいそうで、すんでのところで踏みとどまった。呼び止めたい。けれど、それをしてしまったら、戻れなくなってしまうかもしれない。
……改札の奥から振り返ってもう一度手を振る緑谷に、ぎこちなく手を振り返した。こんな感情、なくなってしまえばいいのに。そう思ってはみたけれど、消えるわけもなく。大きくため息をついて、改札をくぐって、電車に乗り込んだ。……次会えたら、なんて、先のことを考えながら。
(終電/とどろきとみどりや)
ありがとうございましたー!
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