♪阿吽のビーツ/羽生まゐご
「僕はゼロ、きみは?」
そう私に問うた人は、白い相棒とともにいた。きっとそこから。そのときから、私は彼の相棒になりたかったのだ。私を救ってくれた彼に、彼の隣にいる相棒になりたかった。
けれどそれを、口に出してはいけない気がして、ずっと黙っていた。何度も何度も繰り返される世界で、その気持ちは強く、大きくなってしまった。だから、彼からもらったものを返そうと思った。私の魂を、壊れたあの子に入れてあげれば、彼の気持ちを救えると思った。そうすればきっと、彼と相棒が……いや、私が、一緒にいられると思ったのだ。ヴィーテとしての私はいなくなってしまう。それでも、よかったのだ。それでよかった。けれど。
……記憶と衝動のみで、私を巣食ったフィーネを抑えるのは、とてつもない力が必要だった。本当はあの頃に、ゼロとあの人の相棒とともに様々な場所を周った時間に戻りたかった。何度も何度も、昔のことを夢に見た。ずっと、これからだったはずだった。あなたから一言、もらえればそれでよかった。
「何が、だめだったのかしら」
つぶやいても誰も答えてはくれなかった。その代わりに、ぐるぐると世界は巡って、また次の世界。もう何度、同じものをみたかわからない。きっと次の言葉まで予想できてしまう。それもなんだか嫌で仕方がなくて、ギュっ、と目を閉じた。……どうか、次に目を覚ました時、あの人が横にいて、大丈夫だと言ってくれる世界でありますように。