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「はー!? マジありえねーんだけど」
などという、心の中の言葉が口からも出るようになって久しい。当たり障りのない言葉は口から出さないように、なんてしおらしいことを思っていた時期もあったけど、最近では所構わず口にするようになった。だって言わない後悔より言った後悔の方が激しく後悔しないんだもん。
ぶんと振った頭からついてきた、茶色なんだか金色なんだかよくわからない色の髪。やべ、そろそろ毛先傷んできた。いや今それはどうでもいい。ばっさばさのそれが視界を覆ったので、もう一度ぶんと勢いよく頭を振って背中にやった。長い爪の先でいじっていたスマホの画面は、数秒前からある男とのトーク画面に切り替えられてる。はー、うぜー、何度見てもうぜー。
何が「わり、今日のデートだめんなった。めんご」だバカ。めんごっておまえ、謝る気ねーじゃん。まったくもってねーじゃん。激しく謝意がねーよ。
ケンゴと付き合い始めて一ヶ月くらい経った。いや二週間かもしんない。よく覚えてないけどそんくらいが経った。違う学校の男だけど、友達のツテのツテで仲良くなって一緒に遊んで、キスすようになったしセックスするようになったから付き合い始めた。からの、コレ。「デートだめんなった。めんご」。いやマジふざけんなし。
「マジないんだけど」
「だからごめんって言ってんじゃん」
「ごめんじゃねーよ、めんごだよ」
「どっちでもいいじゃん。謝ってんだから」
「謝ってねーじゃん」
「とにかく今日だめだから」
「今何やってんの」
「そういう束縛うぜー」
会話になってねーし。
窓の外からチャイムの音が響いてきた。ソシャゲやってたから気づかなかったけど、もう大分いい時間だ。舐めてた飴玉も消えてた。外を見たら、帰り支度を済ませた制服姿が数人、まばらに間隔を開けて校舎から出ていく。下校時間過ぎても待ってた彼女に、なんだよこの超絶うぜーラインはよ。ミサもカナちゃんも帰っちゃったんだけど。
これから何して暇潰せっていうんだよ。今から帰っても何もやることないし。テレビやってないし。ママに宿題やれって言われるしジジイになんだその髪って言われるに決まってるし。てか毎日見てんだからその髪もクソもあるかよ、あんたの娘の髪だよ。親と顔合わせんの死ぬほどやだったから今日デートしようと思ってたんじゃん、マジふざけんな。
最後の方はめちゃくちゃ関係ない話だったけど、それでも全部責任転嫁させないと気がすまない程には腹が立ってた。いや「めんご」って。あれ、わたしこれかなり「めんご」でムカついてんじゃん、マジ地雷なんだけど。こいつかなりの地雷踏み抜いていってくれたんだけど。どうしてくれんの。とにかく腹が立ちすぎててイライラして、頭をガシガシ掻いたら痛みまくった髪が指に絡んで更にイライラして、全部ぜーんぶケンゴのせいになってきて、
「あーッ!!」
気づいたら、叫びながら自分の机と椅子を思いっきり蹴飛ばしてた。
全然話は変わるんだけど、ギャルっていうのはソコソコ体力があったり柔軟性に富んでたりする。放課後の掃除やりたくなくて全力で先生とか学級委員から逃げるし、コンビニの前に座り込んで店員が出てきたら全力で走って逃げるし、親と顔合わせて口が成績の「せ」の字に開こうもんなら枕とかそこらへんにあるもん投げつけて全力で逃げるから、……あれわたしら全力で逃げてしかなくね? とりあえず全力で全てから逃げるから足が速いし体が柔らかい。ビビるほど足が速い。そして結構足が開く。
そんな脚力で蹴り上げられた机と椅子は、教室を横切りながらぶっ飛んでいって、2、3個の机やら椅子やらを巻き添えにしていった。我ながらストレスのたまり方がすごい。そしてめっちゃクリーンヒットしてったからストレスもしっかりぶっ飛んでった。はー、やっぱケンゴに会わなくて正解だったな。会ってたら頭蹴り上げてたもん、絶対あいつの首もげてた。
「おい……」
などと、机に座って膝を立てたとこだった。
教室の端で、低く、嗜める声色のそれがこっちに向かって投げられたのは。
やべ、先生に見つかった? 掃除が嫌いなら片付けるのだってもちろん嫌いだ。自分で蹴っといてなんだけど、こんだけぐちゃぐちゃになった机と椅子片付けるのなんか死ぬほどイヤ。
なんて言い訳垂れようかなって振り向いた、けども。
「……なんだ、澤村じゃん」
「おまえ……っ、それ!」
「は?」
しっちゃかめっちゃかになった机とかを怒ってくるのかと思ったら、澤村は真っ赤な顔をしたまんま、口元を震わせてなんも言わなくなった。なんだよ、男ならちゃんとしっかりズバッと言えよ。ガン飛ばすために澤村の方を向き直ったら、澤村は今度こそ低い叫び声を上げて「おまえな!」って怒鳴り散らしてきた。
「足!!」
足? 足がなんだよ。
って思ったけど、そうだった。今わたし、足かっ開いてるんだった。忘れてた。右足を下に、左足を膝立ちしてるせいで、しかもスカートが死ぬほど短いせいで、たぶん澤村にはわたしのパンツが丸見えだった。しかも、
「やば、今日ティーだった」
「〜〜〜〜〜っっ」
今日はティーバック履いてたんだった。忘れてた。
「いや悪いねー」って全然悪くなさそうな声で謝っといて、一応足は下ろした。さすがに下着見せつけたまんまは変態がすぎる。澤村とそこまで喋ったことないけど、まさかちゃんとした会話がわたしのパンチラとか超ウケるんだけど。明日ミサに話さなければ。
と、思ったら。
「……澤村」
「何、」
何、ってそれは、こっちのセリフだし。
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初公開日: 2020年04月08日
最終更新日: 2020年04月08日
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コメント
hq!!澤村大地くんの夢小説を書きたい
書き方など普段どおりでいきます
最近書いてないから誤字脱字言葉の間違いがすごいかもしれない
がんばります