川岸の大きな石に座った後ろ姿は、落ち込んでいることがわかる背中だった。
理由はわからないけれど、落ち込んでいるなら元気付けたいと思うのはやっぱり彼のことを好きだからなのだろう、言えないし言わないけれど。
でも、自分なんかが慰めることが果たして良いことなのか、ソフィには自信が持てなかった。もしかしたら全くの見当違いで怪訝な顔をされるかもしれない。心当たりはないけれど、原因がソフィ自身という可能性もある。
どうしようかという逡巡の末、そろりそろりとさり気なく距離を縮める、縮めた距離分頭と肩の落ち方がよく見え、胸が疼く。
何があったかなんて分からなくても、どうにかしたい、してあげたい。
肩を叩こうと手を伸ばし――不意にヒースの頭があがった。
ぽん。
少しかたい髪と頭に手が触れ、びくりと振り返った榛色の瞳と目が合う。
「……ソフィ殿?どうか……したんですか?」
「え」
一瞬の沈黙。
「と、葉っぱが、髪に」
周りに木の一本も生えていない川岸でソフィはそう口走り、ヒースは自分で自分の頭に手をやった。
視線をじわりと逸らし、この場を離れようとするソフィをじっと見て、口元を緩める。
「それでは」
「……ありがとうございます」
「いえ、お礼を言われることなど、何も、失礼します」
慰めることすら出来なかった、と軽く落ち込むソフィとは逆に、ヒースは軽く目を閉じたあと、石の上から立ち上がり、自分で自分の頬を叩く。
そして、いつもと変わらぬ様子で畑へ戻っていった。
おわり。