それは誰もが眠る丑三つ時。
風が草木を揺らす音と、虫の音色が響く夜。
パチリ、と目を覚まし松井が起き上がる。
「今日は桑名とかな」
「うん、そうだよぉ」
隣で寝ていた桑名も起き上がり、松井を見ていた。
「眠いなぁ」
「仕方ないでしょ、これは僕達の物語だもの」
「わかってるよ」
「さ、行こう」
意識を集中させ、戦装束へと衣を変える。
隣の部屋で眠る豊前と篭手切を起こさぬようにと静かに襖を開け、本丸の門へと向かう。
ギイィ…
誰かが開けたわけではないのに、ひと一人が通れる程の隙間。
「せっかちだとモテないよ?」
「松井、口調がにっかりみたいだよぉ」
「ふふっ、わかってくれた?」
「もちろ、ん!」
桑名が握った刀を開いた隙間へと刺すように突き入れる。
『あ”あ”あ”あ”あ”』
耳を掠めるのは不愉快な声。
「もう、静かにしてよ。みんな起きてきてしまうじゃないか」
松井の握った刀が下から何かを切り裂くように振り上げられる。
『あ”あ”あ”…あ”…ぁ”…』
闇に散る雲のように何かが風に吹かれ消えた。
「今日はこれだけかな?」
「まさか、これからが本番でしょ?」
松井が刀に付いた塵を払うように一閃し、門の外へと目を向ける。
桑名も同様に刀を一閃し、地を蹴って飛び上がれば松井も同じように地を蹴った。
音もなく降り立った門の上。
「我が名は松井江。郷義弘が作刀。郷の名にかけ、ここから先は
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くわまつ流し
初公開日: 2020年04月02日
最終更新日: 2020年04月14日
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何かご希望があればお気軽にどうぞ。くわまつしか書けないですが。