「あっ…も、もうむり…お願い…やめて…」
「何を言ってるんだ、ここからが本番だろう?」
「やだっ…もうやだ…お願い大般若…」
「やだ、じゃないだろう?」
「やだぁ…もう無理だって…やめて…」
「そんなに待てないのかい?仕方ない、抜いてあげよう」
「だめっ…」
自分の部屋へ入ろうと障子を開けようとし、桑名の手が止まった。
着替えて畑にでも行こうと思っていたのに、自分と松井の部屋から聞こえてくる声を聞いてしまった。
内容から察するに、松井が大般若に何か如何わしい事をされているようなその会話。
松井が大般若に手篭めにされようとしている?そう思い至り、桑名は驚くほど自分が殺気に満ちている事に気付く。
松井を?手篭めに?無理矢理に?
頭が回るよりも早く、反射のような速度で刀に手が伸びた。
だが、と考える。
相手は太刀。自分よりも早く顕現されているため既に練度は最高値。
いくら油断しているとはいえ、未だ練度を上げている途中の自分が叶う確率は低い。
それならばと桑名は顕現されてから主に渡されたイヤリング型の通信機を二度叩く。
『燭台切さん、山姥切さん、豊前、篭手切、今すぐ部屋にきて。松井が大般若さんに襲われてる』
必要な事だけを伝え、再度イヤリングを二度叩き通信を切る。
瞬間、遠くで殺気が上がった。
「そんなに恥ずかしがらなくても、良いじゃないか、松井江」
「は、恥ずかしいに決まっているだろう…」
すぐ外にいる桑名のことなど気付いていないかのように二人は会話を続ける。
「ほら、よく俺に見せてごらん。大丈夫だから」
「や、やだ…お願いだから、もうやめて…」
段々と涙声になる松井の声に、桑名は待ちきれないと今後こそ刀を鞘から抜いた。
向こうからドタドタと駆けてくる豊前と篭手切、燭台切を認め桑名は刀を振りかぶった。
ザンッ!
「松井!無事!」
「松井!」
「松井さん!」
「大般若くん、何してるの!」
桑名が切り捨てた障子は見るも無残に真っ二つ。
「桑名!」
「松井!」
障子がなくなり、助けがきたのだと理解した松井が桑名へと抱き着く。
桑名の首にぎゅぅと抱き着いた松井の身体に傷をつけぬようにと桑名は右手に握っていた刀を篭手切へと渡し、松井の身体に異常がないかの確認を始めた。
衣服に乱れは見えず、首元を確認しても痣や跡がないことにホッと胸を撫でおろす。
「松井?大丈夫?何があったの?」
出来るだけ優しく、松井に話しかければ松井は涙目で桑名の顔を見る。
涙目の松井の破壊力って凄いなぁなんて考えてはいるが顔には出さず、桑名は松井の頭を撫でながら喋りだすのを待った。
「だ、大般若が…」
「うん」
「ぼ、僕の…」
「うん」
「僕の刀を見たいって言うから…見せたんだけど…」
「う、ん…うん?」
「す、すごく…褒めちぎってくるから、恥ずかしくなってきちゃって…」
「………」
「そ、それに、なんか触り方が、い、いやらしくて…」
「有罪、よし斬る」
「待て桑名、大般若ならもう燭台切に逆エビ決められてる」
いやらしい、の一言に桑名は篭手切に預けていた刀を取ろうとしたが、豊前がそれを止めた。
見れば、部屋の中、大般若は燭台切に逆エビをかけられ「ギブ!ギブ!」と白いタオルを振っている。
「はぁ…」
思わず桑名はため息をはいた。
「松井も大般若さんも紛らわしいことしないでくれる?」
「紛らわしい事なんてしていないだろう!?」
「紛らわしいよ、僕、松井が襲われてるんだと思ってつい燭台切さんや豊前と篭手切を呼んじゃったじゃん」
「あ、だからみんないるんだ」
先ほどまで涙目だった松井は、ようやく羞恥から解放されたのか既に涙は引っ込みいつもの顔。
豊前と篭手切も松井が無事だと知れ、安心した顔をしていた。
「祖!祖!ギブアップだ!これ以上は落ちる!」
ただ一人、大般若だけは未だに燭台切に怒りの逆エビをかけられたまま。
「おい」
「あ、山姥切さん」
「どうせ大般若のおふざけだろ?解決はしたか?」
「うん、解決したよぉ」
「そうか、なら俺は執務室へ戻るぞ」
「ありがとねぇ」
じゃぁな、と踵を返す山姥切の布が風にふわりと舞う。
その腰に刀ではなくハリセンが装備されているのを見て、桑名は思わずぞっとする。
太刀相手なのに初期刀はハリセンで対抗しようとしていたのか、と。
「とりあえず、松井が無事なら俺らも戻るぞ」
「そうですね、れっすんの途中でしたので戻りましょうか」
豊前と篭手切も、松井の無事に安心しそれぞれの部屋へと戻っていった。
残された桑名と松井は部屋の中を見て、どうしようかと顔を見合わせる。
「もう!君って子は!なんでそう紛らわしいことばっかりするの!」
既に大般若は落とされ、力なくその場に転がっているのだが、燭台切はいつまでも大般若に向かって説教をしている。
「どうしよっか」
「うーん、着替えて畑に行きたいんだけど…」
「無理だね」
「だよねぇ」
仕方ない、と桑名と松井はとりあえず居間へと行こうと自分達の部屋を後にした。
燭台切の説教は、夕餉の支度を手伝ってくれと歌仙が呼びにくるまで続いた。
そして、桑名と松井は居間に入るなり乱が「きゃー!」と言うまで抱き合ったままだった。
最後が尻切れで申し訳ない。
このお話はここで終わりです。
お付き合いいただきありがとうございました。
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松井と大般若のドキッ!ポロリもあるよ!(ないよ)
初公開日: 2020年04月18日
最終更新日: 2020年04月19日
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コメント
おばかなお話だよー。
怠惰なる休日
休日にお部屋でごろごろするくわまつのお話。
松井と大般若のドキッ!ポロリもあるよ!(ないよ)
昨晩書いていた松井と大般若のお話。Twitterの方のは、眠気に負けて中途半端にしてしまったので消し…
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寝れないから昼の続きするよ。
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