柔らかな陽射しがカーテンの隙間から差し込む朝。
すやすやと眠る松井を起こさぬように、桑名はそっとベッドを抜け出す。
ベランダで育てているミニトマトとアスパラへ水をやり、朝の空気を吸い込めば身体が少しずつ目覚め始める。
「松井はまだ寝てるかぁ…」
そっとベッドを伺えば松井はまだ瞳を閉じて布団にくるまっている。
定時近くに突然、顧客から緊急の連絡が来たとかで日付が変わるギリギリに帰ってきた松井が酷く疲れた顔をしていたのを思い出す。
「今日は僕が朝ご飯作ろうかなぁ」
起きてくるまで寝かせてあげようと、桑名は寝巻きの上からエプロンを着ける。
松井と暮らす事を豊前と篭手切に話した時に新しい門出に!と渡された色違いのエプロン。
最初は気恥ずかしくなかなか着ける事はなかったが、やはりあると便利。
冷蔵庫の中を見て作れそうなものを頭の中で考える。
「うん、ハムエッグとトーストとサラダが出来そう」
スープは市販のお湯を注ぐだけ。
まずはサラダ、とレタスを3枚ほど洗ってから手でちぎりきゅうりを輪切りにし、朝どれのミニトマトを乗せて完成。
ハムをオリーブオイルを流したフライパンへと入れ、焼き目がつく間に食パンをトースターに放り込む。
ハムをひっくり返してから、卵を割り入れ水を回し入れ蓋をすること20秒。
火を止め、余熱で卵へ熱を通す。
トーストの良い香りがキッチンへと漂い始めたところですぐに湯が沸くが謳い文句のスイッチを入れる。
ゴトンッ。
遠くで何かが落ちるような音がして桑名は思わず笑う。
「おはよう、松井」
「いてて…おはよ、桑名」
トーストの良い香りに釣られて覚醒したのか、松井が頭をさすりながらリビングへと顔を出す。
「ベッドから落ちたの?」
「時間確認しようと思って携帯探してたら落ちた」
「もー、ベッドが広いからってどうせゴロゴロ動いてたんでしょ」
「桑名いなかったし、いいかなって」
「別にそれはいいけど、ちゃんと端がどこかは確認しなよ」
おいで、と呼べばペタペタと素足のまま近付いてきた松井の頭に桑名は優しく触れ、たんこぶが出来ていないかの確認をする。
「あぁ、良いにおいがすると思ったら朝ご飯を作ってくれてたんだね」
「うん。まぁ、松井みたいに手の込んだものは出来ないけどね」
「別に手の込んだものは作ってないよ」
「そうかなぁ、朝からオムレツとか凄いと思うけど」
たんこぶはないから大丈夫、と松井の頭を撫でたところでパンが焼けたとトースターが知らせる。
「せっかく桑名が作ってくれたんだ、冷めない内に食べよう」
お湯を注ぐだけの簡易スープをカップに入れ、お湯を注ぐ。
ハムエッグは皿へと移し、冷蔵庫からサラダとドレッシングを取り出す。
手伝うよ、と松井はトーストを皿に乗せ、バターとジャムを冷蔵庫から取り出しリビングの机へと置いた。
「松井、珈琲は?」
「食後に飲むよ」
「わかったぁ」
「ほら桑名、食べよ」
ハムエッグとトーストとサラダ、桑名が思い描いた通りの朝食がテーブルへ並び、おまけにカップスープまでついている。
さらには目の前には松井。
なんだかとても、贅沢な朝だと桑名は笑う。
「「いただきます」」
手を合わせて朝食に手を付ける。
「今日は何しようか?」
「う~ん、どうしようか~」
少し行儀悪くももぐもぐとご飯を食べながら今日の予定を確認する。
「特にないならさ、今日は家でのんびりしようよ」
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怠惰なる休日
初公開日: 2020年04月21日
最終更新日: 2020年04月21日
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休日にお部屋でごろごろするくわまつのお話。