ワイルドハント29
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死霊の騎士は、剣を振りかざしシトリー警部に襲いかかった。シトリーは銃を撃つが騎士には通用しなかった。
騎馬が警部の眼前に迫った。逃げるのは無理だとシトリーが諦めかけた時だった。ライフルの銃声と共に騎士の頭が吹き飛んだ。
頭を失った主人を乗せた馬はそのままシトリーの横を駆け抜けていく。
誰がが救ってくれたのだと気がついたシトリーが周囲を見渡すと三人組が近づいてくるのが見えた。一人はライフルを持ち、恐らく化け物を狙撃した人物だろう。もう一人はアーチェリーの様な武器を持った女性。最後の一人だけは武器でなくビデオカメラを構えて走ってきた。
「無事か?」
「ああ、助かったよ。救助に来てくれたのか?」
「悪いがちょっと違う。今の起きている原因をなんとかする為にやって来た」
「この白い霧と、さっきの化け物の事か?」
「まあ、そんな感じだ」
「それなら少し心当たりがあるんだが……」
シトリーは伝説の聖剣とされる遺物の展示会場の事を話した。主催する金持ちの事。会場に打多様異様な何か。怪しい展示場のコーディネーター。
「モーガン・フェイね」
フルドラが言った。
「事情を知っているようだが話してもらえないかね? 私は警察関係者である事を調べていたんだ」
「すべてはエクスカリバーを使った魔術儀式なの」
フルドラの答えにシトリーが困惑する。この連中は信用できるのだろうか? 起きている事態にどうかしてしまった頭のイカれた連中ではないのか?
それがシトリーの素直な気持ちだった。
察したリアムが言葉を付け加える。
「彼女の言う事が突拍子もない話なのは俺もわかってる。魔術云々はともかく、このロンドン塔のどこかで今起きてる事の原因になる何かが行われいるのは本当なんだ」
リアムが苦し紛れに説明した。警察官という職業柄、犯罪者とそうでない者の違いはなんとなく感じ取れる。目の前の男は悪人ではなさそうだ。しかも自分の命を救ってくれた。だが両手でライフル、背中に剣を背負ったまるで映画の「死霊のはらわた3」から出てきたよゆな男の言葉を鵜呑みにしていいものか?
シトリーは迷ったが、この場所で、いやロンドン全体に何か人知を超えた事が起きているのは感じている。今は、この連中の言葉を少しは信じてもいいのではないだろうか。
「君らの話をすべて信じるわけではないんだが……場所を案内するよ」
「そいつは有り難い。弾薬はできるだけ節約したかったからな」
「では行こうか」
「ちょっと待ってくれ」
リアムは先に行こうとするシトリーを引き止めた。
「これを使ってくれ。あんたが今使っている銃は9ミリか?」
「ああ、そうだ」
「ならこいつを使ってくれ。特別製だ。これならあのロード・オブ・ザ・リングに出てくるような騎士どもにも効果がある」
リアムはポケットに入れてあった弾薬の小箱を渡した。
「ちょうど弾をすべて撃ち尽くしたところだったんだ。助かる」
弾丸の効果はともかく、予備カートリッジも使い果たした状況でこの補充はありがたい。シトリーは、受け取った箱から弾丸を取り出した。
「装填は歩きながらやってくれ。急いでいるんだ」
「ああ、わかったよ」
シトリーを先頭にリアムたちは霧の中を進み始めた。
しばらく霧の中を進み何度か、死霊の騎士たちと遭遇したが撃退できた。一般人より射撃に慣れているシトリーがリアムのフォローにつくのはかなり手助けになった。
やがて一行は、エクスカリバーの展示場に辿り着く。
入口までいくとボディガードが現れた。リアムたちが武装しているのに気づき、銃を向けてきた。
「止まれ。ここは立ち入り禁止だ」
フルドラが強行突破しようと前に出ようとしたのをリアムが制した。
ボディガードはおそらくリアムの所属していた民間軍事会社の人間で事情を知らずに職務を果たしているだけだろう。それを排除して中に入るのは気が引けた。
「俺も今は休職中だがブラックシーにいた。いわばあんた達の同僚だ。今起きてる事の異常さは分かっているよな? ロンドンも戒厳令下だ。そのすべての原因がその先にあるんだ。放っておくとあんたらにも危険が及ぶぞ。頼むからここを通してくれ」
ボディガードの二人は顔を見合わせる。
確かに雇い主がしてい事には異様さを感じていた。なにかまずい事をしているのは間違いないだろう。迷っている二人にシトリーが追い打ちをかける。
「なあ、君たち、私はロンドン警視庁のシトリー警部だ。さっき顔を見てるよな? 君等の雇い主はなんらかのテロ行為に加担している可能性がある。このまま真面目に職務を遂行すると国家反逆罪に問われる場合もあるぞ」
シトリーの顔は知っていた。昼間、正式に警察関係者であると紹介されて雇い主に会った人間だ。それが今、国に緊急事態が起きていて、そのことに雇い主が関わっている可能性がある。もしそれが事実なら自分たちも罪に問われるだろう。事情は知らなかったとしても起訴されて法廷に立たせられる可能性だってある。テロに関わる罪なら弁護士費用も高額になるのは間違いない。
二人は顔を見合わせながら何も語らず同意した。
「本当にテロに関わっているんだろうな」
念の為の質問をする。
「そうだ」
シトリーは断定もできてない事だったが、言い切ってみせた。
ボディガードは首をくいっとドアの方に向け、リアムたちに入るように促した。
もしリアムたちが嘘を言っていうなら、顧客に危害を及ぼす人物たちに言いくるめられた間抜けになるだけだろうが、事実ならテロに加担した重罪に問われるかもしれない。ふたりは間抜けの方がマシだと選んだのだ。
「あんたらも急いでどこかに身を隠した方がいい。霧にまぎれて襲ってくる連中は銃も通用しない。出会ったらとにかく逃げろ」
「わ、わかった」
リアムはボディガードたちにそう忠告するとドアを開け建物の中に入っていった。
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ワイルドハント29下書き
初公開日: 2025年09月21日
最終更新日: 2025年09月21日
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