「さすがはラルバね! あっという間に気づかれちゃった」
「完璧に隠れてたわたしたちをあっさり見つけるなんて、あなた、やっぱり才能があるわ」
「……みんなの視線が痛い」
 悪びれもせずに得意げなサニーの隣では、スターがにやりと笑っています。そして、うっかり能力を解除して正体を明かしてしまったルナが気まずそうにしていました。
「あはは……今日はみんな、なにかのいたずら作戦中だったんだね? 応援してるよ! ……ところで」
 ラルバはそこで言葉を切って、三人がさり気なく背中の後ろに隠そうとしているものに視線を向けました。
「そのでかい風呂敷のことだけど」
 ラルバがそう言うと、三人は引きつった笑みを顔に貼り付けながら、すすす……と背中にでかい風呂敷を隠しながらラルバから距離を取ろうとしています。
「これ? これは……えーっと……そう、作戦に必要な道具よ!」
 サニーがいつものように明るい笑顔で答えます――が、その視線はラルバから逸れています。
「道具? そんなにいっぱい?」
「そうよ、今日はまだやることリストがまだまだ残っているの」
 ルナがどこからか取り出した眼鏡をかけてメモをチェックしている風を装っていますが、メモにはなにも書いていません。
「確かめてみる? ラルバの持ち物なんて入ってないわ! ……たぶん」
「……あれ? どうしてわたしが自分の持ち物を探しているって知ってるの?」
「あっ……!?」
 サニーが自分の失言に気づいたときには時すでに遅し。固い友情で結ばれているはずのスターとルナはすでにその場を離れようとしていました。しかし――。
「……ちょっとそれの中身、見てみてもい い か な ?」
「ぴぃっ!?」
 あわれその場にひとり残されたサニーが悲鳴を上げました。普段は明るく脳天気な性格のラルバですが、今のラルバからは「逃さん……お前だけは……」と言わんばかりの殺気が放たれています。さっさと逃げようとしていたルナとスターも、もはや逃れられないことを悟ってか、ぎぎぎ、と錆びついたような動きで振り向きます。
「……こほんっ、それじゃ、こうしましょう! 今流行りの弾幕ダンスバトルでわたしたちに勝ったら中を見てもいいわ!」
 こういうときに知恵が回るのはやはりスターです。わざとらしく咳払いをしてつらつらと言うスターに、涙目になりかけていたサニーも便乗。
「そ……そうね! そうしましょう!」
「ま……まあ、それでいいよ! 袋の中身、全部ひっくり返すの大変そうだし!」
 あっさり怒りを収めてスターの提案に乗ってきたラルバに、三人は(ラルバが単純でよかったー……)とかなり失礼なことを思いながら胸をなでおろしました。
「決まりね。悪いけど、遠慮なく三対一でやらせてもらうよ!」
「わたしたちに勝負を挑んだこと、テンポよく後悔するといいわ!」
 なかなか勝手なことを言って、三人は戦闘態勢に入ります。しかし、三対一という不利な状況にも、ラルバは怯む様子を見せません。
 武者ぶるいするように背中の蝶の羽が細かくふるえ、きらきらと鱗粉を振りまきます。
「ふふふ……みんなには悪いけど、一対三でもわたしは負けないもんね!」
 両者は同時に飛び退って間合いを取り、足を踏み鳴らしてリズムを取り始めます。ラルバの蝶の羽がそれに合わせてリズミカルに羽ばたき――先手!
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