仕方なくラルバはチルノと戦った霧の湖から魔法の森方面へと飛んでいきました。
下を見ると、青々と茂った木々の間には楽しそうに踊っている妖精たちの姿が見えます。たいていの場合、妖精たちはああやってテンションが上っていると話もろくにできないことが多いのですが、手がかりがない状態では聞き込みをするしかありません。
「このあたりの妖精にも聞き込みをしておかなきゃね。……って言っても、みんなダンスが好きすぎてお話する感じじゃないなぁ……。まぁ、わたしもブームの火付け役のひとりだししょうがないのかな。 ……あれ?」
ふと、ラルバは違和感に気づきました。周りを見渡せば、上には青い空、下には緑の木々。なのも怪しいところはありません。しかし――。
「この異様な静けさ……まさか」
そう、さっきまであれだけ聞こえていた妖精たちの騒ぐ声も、風が木の葉を揺らす音も聞こえないのです。その不自然な静けさには、思い当たることがありました。
と同時に、眼下の茂みが音もなく揺れて、今までだれもいなかったはずのその場所に突然三人の妖精が姿を現しました。
「ぷきゅっ」
「ちょっ、ルナ! なんでなにもないところで転んで――」
「しーっ」
途端に、今まで耳栓をしていたように聞こえなくなっていたまわりの物音が戻ってきました。
「……えーっと、サニーたちだよね?」
茂みのそばでばたばたやっている三人の妖精は、ラルバが思った通りの相手でした。
「日の光の妖精・サニーミルク!」
「月の光の妖精・ルナチャイルド!」
「星の光の妖精・スターサファイア!」
「「「三人そろって、光の三妖精!」」」
「うん、知ってるから」
妖精の中でも特にいたずら好きで、いつも三人で行動している三人組。
さきほど急にまわりの音が聞こえなくなったのはルナチャイルドの「周りの音を消す程度の能力」、そして今まで三人が姿を消していたのはサニーミルクの「光を屈折させる程度の能力」によるもの、そしてラルバが近づいてきたのを察知していたのはスターサファイアの「動く物の気配を探る程度の能力」によるものでしょう。
三人はこれらの強力な能力をすべて日々のいたずらに注ぎ込んでいるのです。霊夢にしばかれても魔理沙に焼かれてもめげずに懲りずにいたずらに命をかけているその姿に、ラルバは尊敬まじりの呆れを感じていたものです。